「良かったね、春奈ちゃん。お兄ちゃんと和解できたみたいで」
「し、知ってたんですか紗玖夜さん!?」
「うん。…っていっても、人から聞いて初めて分かったんだけどね」

試合が終わった後、着替えるためにロッカールームへと戻ろうとした時に偶々2人が話しているのを聞いてしまったのだ。…本当に偶々、偶々なんだけどね!
でも…仲直りしているみたいだったから、一先ず安心した。…やっぱり、兄妹は仲良くないとね。…で、わたしはと言えば佐久間くんに呼び止められて何故だかメアド交換をせびられて、メアドを交換した後も何だかペンギンの話を熱く語られてしまって…話を中断するのもためらわれて、どうしたものかと考え込んでいるときに春奈ちゃんに助けられて今に至る。
秋ちゃんはきっと夏未ちゃんと一緒に男子更衣室の近くにいるんだろうな、とか思いながらシャワーを浴びる。やっぱり汗を流せる設備っていいなあ、夏未ちゃんにお願いしてシャワールーム取り付けてもらえないかな…。

「…そうそう…紗玖夜さん、お兄ちゃんに何か言われませんでしたか!?」
「えー…?うーん、全国大会でこの雪辱を晴らす!って言われたけど…」
「えー!?それだけですか!?もー、お兄ちゃんったら…!」

突如としてぷんすか怒り出した春奈ちゃんに思わず苦笑が漏れる。今頃鬼道くん、くしゃみとかしてないかなぁ。

「でも…優しいお兄ちゃんみたいだね、羨ましいな」
「…はい!すっごく優しいんです、お兄ちゃん!」

そうやって花が咲いたように笑う春奈ちゃん。…一緒に暮らすことは叶わなかったけれど、お互いの溝がすっかり無くなって、また昔みたいに仲良くなれたみたいだから…良かったね、鬼道くん。

「さて…そろそろ行かないと、皆に怒られちゃうね。遅い!って」
「レディの支度は時間が掛かってしかるべきですよ!遅くて当然です!」
「レディって…」

すっかり元気になった春奈ちゃんを伴ってロッカールームを出る。…角を曲がるときに、ちらっと見えた赤色の事は、春奈ちゃんには黙っておくことにしよう。



 


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