タズナの家から少し離れた高い木々が立ち並ぶ森の中。ここにカカシ班5人がそろっていた。
「では、これから修業を始める!!」
そう声を出したカカシは松葉杖をついている。写輪眼を使った反動のダメージがまだ回復しておらず未だに身体が動かないのだ。
「押忍!!」
ナルト一人が元気よく返事をしたが、カカシは修業をする前に、と話をしだす。
「お前らの忍としての能力チャクラについて話そう」
チャクラについては、普通アカデミーで習っているはずの項目である。
今更説明など不要なはずなのだが、カカシ班には約1名その説明が必要であろう人物がいた。
「チャクラってなんだったっけ?」
案の定ナルトがそう溢すと、皆呆れた顔をする。カカシはガクッと肩を落とし、サクラなんか怒鳴りだす。
「アンタそれでよく忍者やってるわね!学校で何習ってたのォ!?」
『確かに……』
「へへ…オレッてば、難しい授業は寝てばっかだったからなァ…」
「いい?ナルト!面倒くさいから簡単に説明しちゃうわよ!良く聞いてそのツルツルの脳ミソに何とか刻み込んじゃってちょうだい!!」
そういってカカシの代わりにサクラが説明を始める。サクラはアカデミーのテストでは満点を取っていたらしい。
「チャクラっていうのは簡単に言えば忍が“術"を使う時に必要とするエネルギーの事を言うの。そのエネルギーはおおまかに、人体におよそ130兆個存在すると言われる細胞の一つ一つからかき集めて生み出す身体エネルギーと、多くの修業や経験によって積み上げられる精神エネルギーの2つで構成されるのよ!つまり“術"っていうのはこの2つのエネルギーを体内から絞り出し練り上げ(これを“チャクラを練る"という)意志である“印を結ぶ"というプロセスをたどってやっと発動されるってワケ!!」
「そのとーり!イルカ先生もいい生徒を持ったもんだ」
カカシが感心したように言う。サクラの説明は要点だけをまとめた簡潔でいて正確な説明と言えた。
『サクラって……すごいんだな』
「え?そ、そうかな……?」
流石のカズハもここまでの説明は無理だとサクラのことを純粋に褒めた。サクラは照れたように顔を赤らめる。
しかし、肝心のナルトはいまいちわかっていなかったようで、
「何だよ!何だよ!そんな難しい説明は分かんないけどそんなの体で覚えるもんだろー!!」
そんなナルトをサクラは殴っていた。
しかしそんなナルトにフォローを入れたのは意外な人物だった。サスケだ。
「ナルトの言うとおりだ、現におれたちは術をつかえている」
『(そういう意味じゃないんだよね……サスケ)』
サスケの言葉をカカシが否定する。
「いーや!お前らはまだチャクラを使いこなせていない!!」
「なにィ!?」
3人は興味深そうにはカカシの話に耳を傾けた。
「まぁ、聞け……さっきサクラが言ってくれた通りチャクラを練り上げるとは身体エネルギーと精神エネルギーを取り出し体内で混ぜ合わせることをいう。そしてそれは当然発動したい“術"によってそれぞれのエネルギーを取り出す量。つまり調合が変わるんだ」
反応は三者三様だがそれぞれが頷きながらカカシの話を聞いていく。
「今のお前らはチャクラを効果的に使えていない!いくらチャクラの量を多く練り上げることが出来ても術によってバランスよくコントロール出来なければ術の効果が半減してしまうばかりか下手をすると術自体が発動してくれない。そしてエネルギーを無駄遣いしてしまうため長い時間闘えない……などの弱点が出来てしまうってわけだ」
ナルトには何か思い当たる節があるのか、頭を掻く。
「ど、どうすればいいのかな……?」
「体でそのコントロールを覚えるんだ。命を張って体得しなきゃならないツラーイ修業!」
ツラーイ修行と聞き、ナルトとサクラの表情がこわばる。
「なっ、何をやるの?」
サクラが恐る恐る問いかけた。
「ん?木登り……!」
カカシは満面の笑みでそう言った。
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