悲しみを拭うその手は、 | ナノ





此処は木の葉の里のとある森の中。生き物の気配がいくつもする森の中、鋭い視線がとある一匹の獣を捉えて離さなかった。



「目標との距離は?」

「《5m!いつでもいけるってばよ!》」

「《オレもいいぜ》」

「《私も》」

『《問題なし》』

「よし……やれ!」



カカシの合図とともに一斉に4人が動き出した。



「つっかまえたぁーっ!!!」

「ニャー!!」

「《右耳にリボン…目標のトラに間違いないか?》」

「ターゲットに間違いない」

「シャー」



ナルトが捕まえたネコ(?)がナルトをひっかいた。



「イテイテ、イテってばァ!!」

「ハハ!」

『ナルトは嫌われてるみたいだな』

「よし、迷子ペット“トラ”捕獲任務終了!」



そう、これは忍の任務。


Dランク任務だったのだ。







「ニャー!!」

「ああ!私のかわいいトラちゃん。死ぬほど心配したのよ〜」



猫の飼い主であるマダム・しじみがトラに頬ずりをする。


対してトラは嫌そうだ。



「(ギャハハ、ざまーねぇーってばよ、あのバカネコ!)」

「(逃げんのも無理ないわね、アレじゃ)」



ここは任務を報告、受け付ける、言い渡す場所。

上には「皆さんガンバ」の文字の書かれた弾幕がある。



「…さて!カカシ隊第7班の次の任務はと…んー…老中様のぼっちゃんの子守に隣町までのおつかい、イモほりの手伝いか…」



部屋の窓際の席のど真ん中に座る火影……猿飛ヒルゼンが次に第七班が行う任務の吟味を始める。


しかしナルトが声を荒げて批判する。



「ダメーッ!!そんなのノーサンキュー!!オレってばもっとこう、スゲェー任務がやりてーの!他のにしてェ!!!」

「(…一理ある)」

「(もー、めんどいヤツ!!)」

「(ハー…そろそろダダこねる頃だと思った)」

『(ナルトらしいなー)』



それぞれが思いにふける。



「じぃちゃん!俺も!もっとおもしろいヤツがいい!!」

「バカヤロー!!お前らはまだペーペーの新米だろーが!誰でも初めは簡単な任務から場数を踏んでくり上がってくんだ!」



元担任であったイルカが声を荒げナルトを怒鳴る。



「だってだって!この前からずっとショボイ任務ばっかじゃん!!」

「ナルト!お前らには任務がどーいうものか説明しとく必要があるな…」



そうして火影様の長い話が始まった。


が、



「きのうの昼はとんこつだったから今日はミソだな」



ナルトは座り込んで今日の昼ごはんのラーメンについて考えていた。



「きけェェェイ!!!」

『はは……』



その後、ナルトの意志に折れた火影様は第七班にCランクの任務を言い渡した。


任務内容はタズナという大工を波の国まで送り届けるという護衛任務。




それでもナルトは少し不服そうだったが、







このCランクの任務が、


後々、大きな任務になることは誰も予想していなかっただろう。







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