悲しみを拭うその手は、 | ナノ




木を登り始めた3人をカズハは木の上で眺め始めた。

ナルトは案の定チャクラが足らず2歩目あたりで転落。後頭部を強く打ちつけていた。

サスケは途中まで順調だったがバキッ!という音共に木から落ちた。一回転してから地面に着地をし舌打ちをする。サスケは一定にチャクラを保てず、その上チャクラを多くしてしまった口だろう。



サクラは、


「案外カンタンね!」


カズハのいる位置よりも少し下のあたりの枝に座っていた。


『おぉ!サクラ、スゲェ』

「えへへ」

「今一番チャクラのコントロールがうまいのはカズハを抜かすとどうやら女の子のサクラみたいだな」


ナルトはサクラを褒め称えるがサスケは気に入らないのかまたもや舌打ちをした。

カカシはナルトとサスケを挑発するようにして続ける。


「いやー!チャクラの知識もさることながら“調節"“持続力"ともになかなかのもんだ。この分だと火影に一番近いのはサクラかなァ……誰かさんとは違ってね」


その言葉に反応するのは勿論ナルト。カカシはそのままサスケを見やり口を開いた。


「それに、うちは一族ってのも案外たいしたことないのね」


続けざまに二人を挑発する。

ナルトもサスケもこめかみに青筋が浮かんでいる。


『カカシさん……貴方って人は本当に……』


やれやれと、困ったようにカズハはため息をついた。


それから数分後。未だに燻っているナルトは少し思案したかと思うと既に木から降りてきていたサクラへと歩み寄った。


「ねー……サクラちゃん」

「何よ?」

「コツ、教えてくんない?」


小さい声での会話だが、そんな会話が木の下からカズハのもとへと聞こえてきた。


『(ナルトは伸びるなぁ。数年後には私も抜かされるかもね、なんて)』


まだ見ぬ未来のことに想いを馳せたカズハは木の幹を蹴り、木から飛び降りる。


『よいしょ、』


落ちた時の衝撃音も砂埃もなにも上げずに降りたことに気づくのはカカシだけ。カズハはカカシへと歩み寄った。


『カカシ先生。ちょっと散歩してくるわ』

「あ、そう?気を付けてね」

『はーい』


踵を返し、森の奥へと進もうとするカズハ。


「…カズハ」

『ん?サスケ?』


散歩に行こうとしていたカズハにサスケが声をかけ手招きする。カズハは首を傾げながらもサスケに近づいていく。


『何?』

「そ、その……」

『言ってみ?馬鹿にとかしないし』

「コツ、教えてくれないか」


気まずそうに、そして気恥かしそうに目線を彷徨わせながら頬を少し赤らめるサスケ。


『サスケは短気だからな』

「何ッ!?」

『ほらぁ』

「ッ!」

『さっきサクラが言ってたろ?チャクラってのは身体エネルギーと精神エネルギーを使ってんだ。なのに、精神状態が安定してない状態でチャクラ練ったって、安定するはずがない』

「……」

『周りのことなんか気にすんな。サスケにはサスケのペースってもんがあるだろ?落ち着いて、深呼吸。これだけ』

「……わかった」

『やってみ?』


そういうとサスケはゆっくりと印を結び時間をかけチャクラを練った。足元の砂が舞ったと同時にサスケが走り出す。

サスケがつけた今までで一番高いところにあった跡を軽く越し、倍あたりのところでバランスを崩しクナイで傷をつけ降りてくる。


『フフッ!ほらね?』

「!」


カズハを見やったサスケは思わず目を見開いた。あまりにもカズハが綺麗に笑うものだから。


『ん?どうかしたか?』

「い、いや……」


目の前にいるカズハの性別は男。体つきもその容姿も全ては男のものであるのは明白。なのにその端々にある笑顔などがサスケの心をざわつかせた。


『じゃあ、ガンバ!』


そう言って大手を振るとカズハは再び散歩へと向かった。



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