「あそこだ!」
「しかも水の上!?」
再不斬は印を結んだ。
「忍法…“霧隠れの術”」
そう言うと、再不斬の姿は見えなくなった。
「消えた!?」
「まずは、俺を消しに来るだろうが…桃地再不斬…こいつは霧隠れの暗部で無音殺人術の達人として知られた男だ。気づいたらあの世だったなんてことになりかねない。俺も写輪眼を全て上手く使いこなせるわけじゃない…お前達も気を抜くな!」
霧が濃くなっていく……。
神経を集中させ、位置をつかむ事に集中する。
「…八ヶ所」
どこからともなく、再不斬の声が聞こえてきた。
「え!何なの!?」
「咽頭・脊柱・肺・肝臓・頸静脈に鎖骨下動脈・腎臓・心臓……さて…どの急所がいい?ククッ…」
いたるところから感じる殺気。
肌を刺すような実践の空気。
隣でカタカタと音がする。
サスケが恐怖で震えている。
無理もない。
特にサスケはこういうのに敏感だ。
『サスケ……大丈夫だ、心配すんな。俺が…お前を殺させねえ』
「!」
「サスケ…安心しろ。お前達は俺が死んでも守ってやる。俺の仲間は、絶対殺させやしなーいよ!」
カカシは、そんなサスケを安心させるかのように微笑んだ。その言葉に、次第に震えが治まっていく。
「それはどうかな…?」
再び聞こえた再不斬の声。
「終わりだ」
気づくと、再不斬は卍の陣の中に現れた。少しでも刀を動かされれば、首が飛ぶ。
俺は持っていたクナイで再不斬とタズナさんとの距離を取る。
カチカチッ…!!
「…ほぅ…やはり反応するか」
『糞ッ!』
しかしやはりというべきか、クナイと大きな刀では力の伝達具合が全く違う。
押し負けそうになったがカカシさんがすかさず再不斬を刺す。だがわかっていたがそれは水分身。
「先生!後ろ!!」
再不斬はカカシさんの背後に立ち思いっきり蹴りを入れる。
「カカシ先生!」
「きゃーー!!」
サクラの悲鳴が響く、が、
「動くな」
今度はカカシさんが再不斬の背後に立ち、首にクナイをあてがう。
所謂、水分身のコピーだ。
「す…すっげー!」
ハイレベルな戦いに、ナルトは驚く。
だが、首元にクナイを当てられた状況でも、再不斬は笑う。
「……ククッ…終わりだと?…分かってねーな。サルマネごときじゃあ…この俺様は倒せない…絶対にな。しかし…やるじゃねーか!あの時すでに…俺の"水分身の術"はコピーされてたって訳か…分身の方にいかにもらしい台詞を喋らせることで…俺の注意を完全にそっちに引きつけ、本体は“霧隠れ”で隠れて俺の動きを窺ってたって寸法か…」
「……」
「けどな…俺もそう甘かぁねーんだよ」
『!カカシさん!!それも水分身だッ!!』
俺が声を荒げたときにはもう遅く、カカシさんの背後には再不斬が。蹴り飛ばされ、湖に墜ちる。
「水牢の術」
「しまった!」
「ククク…ハマったな。脱出不可能の特製牢獄だ。お前に動かれるとやりにくいんでな…。さてと…カカシ、お前との決着は後回しだ。…まずは、アイツらから片づけさせてもらうぜ」
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