悲しみを拭うその手は、 | ナノ





「大丈夫かい?先生」

「いやー…それが一週間ほど動けないんです」



打って変わってタズナの家。


カカシに声をかけたのはタズナの娘ツナミだ。そのツナミに申し訳なさそうにカカシが答える。



「なぁーによ!写輪眼ってスゴイけど、体にそんなに負担がかかるんじゃ考えものよね!!」



サクラが声を上げる。




『(まぁ…カカシさんに限りだけどね。写輪眼使って倒れるのなんか)』

「でも、ま!今回あんな強い忍者を倒したんじゃ。おかげでもうしばらくは安心じゃろう!」

「それにしてもさっきのお面の子って何者なのかな?」



サクラが気になって仕方がなかったと言わんばかりに話題に出す。すると、寝たままのカカシが説明する。



「アレは霧隠れの暗部…追い忍の特殊部隊がつける面だ。彼らは通称、死体処理班とも呼ばれ死体をまるで消すかのごとく処理することでその忍者が生きた痕跡の一切を消すことを任務としている」

『忍の体は調べれば調べるほど色んな秘密を語ってしまうものなんだ。チャクラの性質、忍術、秘薬の成分などなど』

「たとえば、オレが死んだ場合…写輪眼のような特異体質の秘密は全て調べあげられてしまい…下手をすれば敵に術ごと奪い取られてしまう危険性だってあるわけだ…忍者の死体はあまりにも多くの情報を語ってしまう」

『つまり、追い忍とは里を捨て抜け忍となった者をを抹殺し、その死体を完全に消し去る事で里の秘密を外部に漏れだす事を阻止するスペシャリストってとこかな』

「…音もなく臭いもない…それが忍者の最後だ」



今の一連の話を聞き、自分でも話しながらカズハは違和感の正体を考えていた。



『(…追い忍…俺…いや、私だってその仕事をしたことはある。まぁ、片手で数えても指が余る程度だが……)』



眉間に皺を寄せ考える。



「おい、カズハ。何してんだ」

『あ?サスケ、俺?』

「眉間にスゲェ皺、寄ってんぞ?」



サスケは自分自身の眉間を指で刺し促した。



『あ、あぁ…ちょっと考え事を…な』

「……追い忍のことか?」

『あぁ…違和感が残っててな…』

「……」

『(あいつは千本で首を刺し、息の根を止めて、死体を運んだ……あ?千本で殺して、死体を…運んだ?!)』




『そういうことかッ!糞ッ!やられた!!!』

「カズハ??」




カズハが大声を上げた瞬間カカシも飛び起きた。




『カカシ先生……』

「…言ってみろ、カズハ」

『確認しながら行くぞ?ナルト、サクラ、サスケ、聞いといてくれ』

「うん…」

「あぁ」

「わかったってばよ」

『俺の記憶が正しければ、追い忍はターゲットを殺した後死体はその場で処理するもんだったきがする。だよな?』

「あぁ、そうだ」



カカシがカズハに同意する。



「それがなんなの?」



サクラがキョトンとし問いかける。



「分からないか?あの仮面の少年は再不斬の死体をどう処理した?」

「は?」



カカシが逆に問うようにして話せば、全く答えにいきつかないのだろうナルトが変な声をだした。



「知るわけないじゃない!だって死体はあのお面が持って帰ったのよ」

『それでいいんだよ、サクラ。そう、あの追い忍は死体を持って帰ったんだ。自分の身体よりも一回りもでかい再不斬を抱えてな』

「殺したという証拠が必要なら、首だけ持ち帰ればいいのに、だ」



カズハとカカシの視線が交わる。



『話には続きがあるんだ。問題視すべき点はあと一つ。あの追い忍が再不斬にとどめを刺す時に使った武器だ』

「…まさか…」



サスケがいち早く気づいた。



『サスケは気づいたか。これが実物な』



カズハは自らのポーチから千本を取り出す。



『これは千本っていうのな』



カカシは困ったように頭を掻くが、焦った様子はないようだ。



「さっきからグチグチ何を言っとるんじゃお前たち…!?」



一緒に話を聞いていたタズナも、ただ事でない空気に困惑気味に割って入ってくる。

それにカカシは、バッサリと事実を告げた。



「おそらく、再不斬は生きてる!」



その一言に、ナルト、サクラ、タズナの順で目を真ん丸に、口を大きく開いて固まった。ちなみによくわかっていないタズナの娘ツナミは、目をぱちくりさせている。



「ど──ゆ──ことだってばよ!?」

「カカシ先生、再不斬が死んだのちゃんと確認したじゃない!!」

「あぁ、確認した。…千本のことならカズハの方が詳しいだろう。カズハ」

『はいはい。さっきも見せたけどこれが実物』



千本は両端がとがっている棒状の飛び道具の一種だ。



『で、コレの使用用途なんだけど…針みたいな形なのは見て取れると思う。これはな、急所にでも当たらない限り死ぬことがない殺傷の力が低い物なわけ。もともとはな、ツボ治療に使われていたものなんだ』

「え?」

『で、相手は追い忍。追い忍は死体処理班と呼ばれるほど。人体の構造はすべて知り尽くしてるだろうな…多分。だから、人を仮死状態にするツボ…なんてのも知ってんじゃねーのかな?っていうのが俺の見解』



話を聞いている人物はだれ一人として真剣な表情を崩さない。



『んじゃ、要点まとめるぞ?疑える要点、第一は…』



カズハは人差し指をだし1を示し話し続ける。



『追い忍は元々死体はその場で処理する。しかし、今回の追い忍は死体をわざわざ持って帰った。一回り大きいにもかかわらず。そして殺した証拠がほしいなら首だけ持ち帰ればいいのにもかかわらず』



そして続いて中指を足し、2を示し続けた。



『第二に、殺傷力も低くツボ治療なんかに使われる千本をとどめを刺す道具として使用した。この二点からあの追い忍を名乗る少年は…』



カズハとカカシは目を合わせ同時に言い放った。



「『再不斬を“殺しに来たのではなく助けに来た”』」




話が一通り終わった後カズハは大きく溜め息をつき、その場に寝転んだ。そのカズハの頭をカカシが優しく撫でる。その撫でる手がが優しかったためか、そのままカズハは眠り込んだ。



この間に、修行の話が進められていたのは言うまでもない。




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