悲しみを拭うその手は、 | ナノ





今回の作戦の本当の目的は下忍の集まりで再不斬を倒すことではなく、あくまでも、カカシ先生という上忍の救出だった。

まず、水分身再不斬に対してのナルトの大量の影分身。あれはのちの作戦のための目くらまし。ナルト本体のふりをするための影分身と、ナルト本体が手裏剣へと変化するのを隠すためのものだったのだ。

あとは本体のふりをした影分身のナルトが、手裏剣に変化した本体のナルトをサスケへと投げて渡す。

渡された手裏剣がナルトだと気づいたサスケは、自分の持っていた手裏剣と重ね影手裏剣にし本体に投げる。



サスケの持っていた手裏剣を本体の再不斬はあいている片手で受け止める。そして影になって見えていなかった手裏剣…ナルトが変化したものを飛んで避ける。


しかし飛んで避けた後ナルトが変化を解き、背後からクナイを投げる。


手裏剣を片手ですでに受け止めていた本体の再不斬はとっさに術をかけていた右手をはなし、ナルトの投げたクナイを避ける。


これでカカシさんにかかっていた術はとけ、救出は成功、というわけだ。





その後、再不斬とカカシさんが対峙。


カカシさんが写輪眼を使い再不斬を圧倒。


したのはいいのだが…




『湖のある場所で水遁したら、俺ら完全に巻き込まれるよね……』




水遁、大爆布の術のせいで湖が荒れに荒れ、津波のように襲ってきた。


カズハは水の上に立てるが…ほかのみんなは無理だろう。



波が落ち着いた後、カズハはカカシと再不斬のほうへと目を向ける。



再不斬は木にもたれ掛り、手足にはクナイが刺さって動けない状態になっていた。どうやら、カカシがやったようだ。




「終わりだ…」



木の上に着地しカカシはクナイを手にそう告げる。




「……ナゼだ…お前には未来が見えるのか…?」



再不斬は動揺した眼差しで、真上のカカシを見上げた。するとカカシは、鋭い刃を光らせ再不斬を見下ろす。



「ああ……お前は死ぬ」



とどめを刺す、そう思われた瞬間二本の千本が再不斬の首を貫通した。それと同時にその場に着いた皆は目を見開き、何がおきたのかと混乱する。



「フフ…本当だ死んじゃった」



ドサッと力なく倒れた再不斬の近くに、仮面の少年が姿を現した。


高い木の上から、再不斬の急所を狙ったのは明らかにその仮面の少年だ。


カカシは倒れた再不斬の許へと駆け寄り、脈をとった。



『カカシ先生』

「間違いなく死んでるよ」

『………』



あのお面からして…霧隠れの追い忍か……。



「ありがとうございました。ボクはずっと……確実にザブザを殺す機会をうかがっていた者です」



少年はペコっと頭を下げた。



「確か、その面…お前は霧隠れの追い忍だな……」

「さすが…よく知っていらっしゃる」

『再不斬を追っていた…ということか?』

「はい、そうです」

「なんなんだってばよ、お前は!?」



すると突然、ナルトが声をあらげた。

皆それに驚き、視線がナルトに集中する。



「安心しろナルト、敵じゃないよ」



カカシが腰を上げ立ち上がる、しかしナルトは納得がいかないとギャーギャー喚き続けた。



「オレと変わんねェあんなガキに、簡単に殺されちまったんだぞ!オレ達バカみてーじゃん!納得できるかァ!!」



カカシはフゥと息を吐き、ナルトの元まで来るとツンツン頭に手を置いた。



「ま!信じられない気持ちもわかるが…が、これも事実だ。この世界にゃお前より年下で、オレより強いガキもいる。」



カカシがカズハを見やる。



『(コッチ見ないでくださいよ、まったく)』



少年がフッと木の上から地面へと移動し、再不斬の体の元へと足をつける。



「…あなた方の闘いもひとまずここで終わりでしょう。ボクはこの死体を処理しなければなりません、なにかと秘密の多い死体なもので……それしゃ失礼します」



そう最後に言い残し、追い忍の少年は再不斬を背負い、風に吹かれ消えて行ってしまう。



『………(何か引っかかる…なんだ、何に違和感を覚えたんだ…)』



今の一連の出来事に何か違和感を覚え黙りこくるカズハ。



「フ───さ!オレ達もタズナさんを家まで連れていかなきゃならない、元気よく行くぞ!」



カカシがクイッと額あてを斜めに直し、写輪眼を再び隠した。

皆もホッと息を吐くと、タズナが笑いだす。



「ハハハッ!!皆超すまんかったのォ!ま!ワシの家でゆっくりしていけ!」



そう言って歩き出そうとした瞬間、ドサッと何かが落ちたような鈍い音が響く。


音がした方を振り返れば、先ほどまで普通に戦っていて喋っていたカカシが倒れていた。



「なに!?え…?どうしたの!!?」

「カカシ先生───!!」

『あーあ…使い過ぎってとこか…』



動けなくなったカカシをタズナさんが背負い、とりあえずタズナさんの家へと足を進めた。



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