悲しみを拭うその手は、 | ナノ





「ねぇ…タズナさん」

「何だ?」

「タズナさんの国って波の国でしょ」

「それがどうした」


サクラはタズナから視線を外し、カカシを見る。


「ねぇ、カカシ先生。その国にも忍者っているの?」

「いや波の国に忍者はいない。が、たいていの他の国には文化や風習こそ違うが隠れ里が存在し、忍者がいる」



カカシはそう答えて、忍五大国について話し始めた。

そして長い説明を話終えた頃。



「ま、安心しろ。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」



そう言ってサクラの頭に手を置く。



「じゃあ外国の忍者と接触する心配はないんだァ」

「もちろんだよ、アハハ」



話をしながら歩いていると道に水たまりがあった。ほとんどの人間が気にも留めない。そんなただの水たまり。



だが、ある2名だけは、何かに気づいたようだった。



そして、




ピシャッ!



『うわ、冷てっ!水たまり踏んじまった』

「だっはー!カズハってばダッセー!」

『うるせぇ、ウスラトンカチ!』

「な!テメェ…」



カズハは笑いながら、先ほど踏んだ水たまりを見やった。




『(来るかな……)』




そうカズハが思った矢先、


水たまりから出てきた何者かがカカシの背後を取り……




「一匹目」




刃物で切り裂き殺した。



「キャ――――――!!」

「カ……カカシ先生ェ!!」



ナルトとサクラが声を上げる。



「二匹目……」

「!?」



敵はすぐさまナルトの背後に回り込み、敵の得物であるかぎづめを振りかぶっていた。


が、それがナルトにあたることはなかった。



敵の姿を確認したサスケ、カズハが飛び出し、サスケは手裏剣で二人の敵をつないでいた鎖を弾き、それをカズハがクナイで木に固定する。

一瞬のアイコンタクトでの行動だった。

動きの封じられた敵にサスケは蹴りを入れる。

が、敵もそれで倒れるわけはなく、二人をつないでいた鎖を斬り、二手に分かれた。



片方の敵はナルトへ。


片方の敵はサクラとタズナのほうへ。



サスケはサクラとタズナの方へと反応したため、カズハはナルトの方へと向かって行った。



『(……ッ!少しだけ、間に合わない…!!)』



反応したが少しばかり間に合わず、ナルトの手の甲には傷がつく。しかしナルトが負った怪我はそれだけで。

傷をつけた後敵はカズハに蹴られ、木に激突。伸びてしまった。



『………ふぅ。サスケ!大丈夫……だな』



サスケとサクラ、そしてタズナの許には殺されたふりをしていたカカシの姿があった。カカシは敵を脇に抱えている。



『カカシ先生、あんた生きてたんだ』

「勝手に殺さないでちょうだい…」



二人はそのまま声を潜めて会話をする。



「……どうやら霧隠れの里の中忍だ」

『霧隠れか……少々厄介ですね。……狙いはタズナさんみたいですし。それを見たかったんでしょ?』

「あぁ……この任務はBランクになる。それに…」

『ナルトの手、ですね。……すみません。私が本気を出せば間に合ったかもしれないのに…』

「いや、あの怪我だけで済んだのは不幸中の幸い、そしてお前のおかげだ」

『………』


カカシはニコリと微笑んだ。




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