火影と相対する一つの影。膝を付き頭を下げるその姿は忠誠を示していた。
「……“夕理”」
『なんでしょう』
「この任務中に、波の国方面の任務をしてもらうことになる」
『御意』
「任務内容は追って説明する。今はCランク任務のことだけ考えておればよい」
『わかりました』
それだけ言い残せば、音もなくその場を立ち去っていった。
一度家に戻り、忍具の準備を始める。
『…クナイに手裏剣。千本、起爆札に兵糧丸もあったほうがいいか…ワイヤーが少し少ないか?まぁ…どうにかなるだろう』
部屋は広い割に物がなく、少し暗い雰囲気を持っていた。
きっとそれはあまり部屋に戻ることがなく、人の気配が少ないせいもあるのだろう。
必要なものをリュックへ詰め、背負う。
『待たせても悪いし、行くか………あ』
机の上に置いてある“面”が視線に入る
『そういえば、任務が入るんだった……。暗部服も持っていかないと……』
リュックに入れようとする…が、
『バレたときのこと考えると……空間忍術とかのほうがいいかな』
印を結び、服と面に術をかける。
『これでよし。いくか』
改めてスズランは集合場所の門を目指して家をあとにした。
「出発ーッ!」
「何はしゃいじゃってんの、アンタ」
元気よく叫ぶナルトにサクラが冷たい突っ込みを入れた。
「だって俺ってば一度も里の外に出たことねぇーからよ」
ナルトが言った。
『(そっか……人柱力だから…里の外に出さないようにしてたんだ。火影様は見せてあげたかったんだな…外の世界を。………私は逆に、追い出されたんだけどね…)』
スズラン……カズハが視線を落とす。
「?どうした」
『あ……サスケ…。ん、なんでもねぇよ。ありがとな』
「別に……」
『(ありがと……サスケ)』
ナルトのほうで何かあったようだが終わったようだった。
改めて、波の国へと出発したのだった。
あん、書かれた門をくぐり、里の外へと。
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