悲しみを拭うその手は、 | ナノ





丸太の場所から少し離れた気の陰に、カカシとカズハ…いや、スズランはいた。



『これで…ナルトに弁当を食べさせなかったら不合格…ってわけですか?カカシさん』

「流石スズラン。だから、俺とここにいるの」

『そうですね。私があのままあそこにいれば、私は迷わず食べさせてました』



スズランは微笑みながらカカシへと言葉を紡いだ。



「お前って…本当に、一番忍らしくない忍だよな」

『それって貶してます?』

「いいや、褒めてるよ」

『そうですか?』

「…どうみる?」

『私は食べさせると思いますよ』

「ほう…合格するって?」

『えぇ』



スズランは自信満々に答えた



「誰が切り出す?」

『サスケ』



迷わずに黒髪の少年の名をだした。



「サスケ…か」

『えぇ』

「……動き出したか」

『ホラ、サスケだ』


視線の先には白米の摘まれた箸をナルトに差し出すサスケの姿。

スズランは満面の笑みでカカシを見やる。



「お前にはかなわないな」

『それほどでも』

「行くぞ」

『はぁーい』





カカシとスズランは飛び出していった。



サスケ、サクラ、ナルトの目の前に煙が現れる。そこからカカシが現れる。



「お前らぁーー!!」



ナルトとサクラは完全におびえている。

サスケは臨戦態勢だ。


しかし、カカシはニッコリと笑い……



「全員…ごーっかく!」



そう言い放った。



「「……え?」」



サクラとナルトが声を合わせた。


サスケも何が起こったかわからないような表情をしている。



カズハはカカシの後ろからひょっこり出てくる。



「お前ら、人の話聞いてるのか?合格だぞ、合格」

「だ、だが、俺たちはお前の命令を無視したんだぞ」



サスケが信じられない、とでも言いたげにカカシを見やった。



「それがどーした?俺が見たかったのは、お前らが協力するところだって言っただろ?」

『今、サスケとサクラは何をした?食べさせただろ?弁当。……立派なチームワークじゃねえの?』



カカシの言葉にカズハが続けた。

そしてまたカカシが言い放つ。



「忍者の世界でルールや掟を破るやつはクズ呼ばわりされる。けどな、仲間を大切にしないやつは…それ以上のクズだ」



その言葉を聞いたナルトの目は輝いていた。



「……カズハを連れて行ったのは……」

「あぁ、そうだ。お前が思っている通りだよ、サスケ」

「え?え?どういうことだってばよ?」

「カズハはもう、この演習の意味をはじめから理解していた。だから、あのままお前らと昼飯を食わせてたらカズハは間違いなくナルトに弁当を食わせてた。だから俺はカズハを連れて別の場所でお前たちを見ていたんだよ」

「へー!」



ナルトが感心したように声をだした。


カカシは4人を見渡すと、親指を立て高らかに宣言した。




「これにて演習終わり!第7班は、明日より任務開始だ!」

「「お〜!」」





こうしてここに、第七班ができたのであった。



しかし、これが始まりに過ぎないということは、



此処にいるだれもまだ知らない。







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