悲しみを拭うその手は、 | ナノ





「きゃああああああ」

『サクラ!?』


演習場内にサクラの叫び声が響いた。カカシさんめ…何したんだ……。


私は急いで声のほうへ向かった。




見つけたサクラは放心状態で、一瞬で彼女に幻術がかけられているのだとわかった。


『解!』


私はサクラの額に指を当てて、幻術を解いた。


「サスケ君!!は!カズハ君?」

『大丈夫か?サク…』

「サスケ君探さなきゃ!」



そういって駆けて行ってしまった。



『声……かけれなかった』



こうなったら、サスケを探すか。










「火遁、豪火球の術!」


見つけたサスケは既にカカシさんと戦闘中だった。繰り出されるのは高等忍術である火遁の術。

サスケ……腕、あげたな。



木の上からカカシさんとサスケの戦いを見つめた。

といっても、カカシさんはすでに土の中。


サスケは気づいていない。



「う、うわぁぁぁああああ!!」



ホラ、やられた。

サスケはカカシさんから土の中に引きずり込まれ生首状態に。



「で、でてきたらどうなの?」

『あれ?ばれてました?』

「わざと気づかれるようにしてたでショ」

『…なんのことやら。さて、サスケ』

「なんだ」

『いやー、随分楽しそうだなって』

「クソッ」

『助けてあげるからさ、俺と組んでよ』

「は、誰が」

『そっか、残念だな。だそうだ、カカシ先生』

「……ナルホドね…。カズハは来ないの?」

『ここじゃあなんですし、あっちに』




サスケもダメだった。



でもまたとないチャンスだ。


カカシさんと戦うことができるのだから。




「ここら辺でいいんじゃない?」

『そうですね』



少し広めの草むらで私とカカシさんは対峙した。



「いやー久しぶりだね」

『そうですね』

「腕あげちゃって」

『カカシさんのおかげです』

「嬉しいこと言ってくれるじゃない」

『手加減、しませんよ?』

「勿論」

『……風遁!風蟷螂』



素早く印を結び先制攻撃をする。

避けられたようだ。


私は視線を這わせた。上、下、前、後ろに右左。



『秘術、氷遁、水晶地爆』



私は特性の氷爆弾を土の中に作って爆破させた。さっきのサスケとの戦いと同じく土の中だなんて、カカシさんも遊んでいるんだろうな。



「こわいねーまったく」

『芸のないことするからですよ』

「雷切……!」



カカシさんの右手がチャクラに包まれ弾ける。



『……火遁、龍球掌火』



私は炎の球を右手に作り出す。



『はぁぁぁあああああ!』



私とカカシさんは同時に走りだし、術をぶつけあった。



大きな爆音と光で辺りは包まれていった。






『はぁ…はぁ……まだ未完成だな…』


先ほどの火遁は自作の術で、まだまだ調整中の術だったりする。


「……フー…え?今ので未完成?」

『えぇ』

「完成が楽しみなような、怖いような…」







ジリリリリリリ!!

鳴り響いたのは、セットしていた目覚ましの音。




『あ』

「残念だったね。鈴」

『え?何言ってるんですか?ホラ』


私は手に持っていた鈴を見せた。


「いつの間に」

『さっきの間に』

「ありゃー、やられちゃったのね」

『戻りましょう。カカシせんせ』

「嫌味だねー」






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