「なぁ、名前」

『何?』



サソリの自室に二人きりで。今まで傀儡のメンテナンスをしていたサソリがこっちを見ていった。



「やっぱ、永久の美だよなぁ」



またはじまったと、そう思った。自称芸術家である彼が掲げるものそれは“永久の美”というもの。彼との付き合いは長いほうだが芸術なんかには疎い私にはさっぱりわからない。



『私は“美”とかわかんないから』

「じゃあ、愛は?」

『…え?』



唐突すぎるその質問に、私は目を瞬かせるしかなかった。



「愛は、永久であるべきだよなぁ?」

『え…あ……』



全身に震えが走った。

寒気、悪寒、

サソリの言葉から感じる黒いもの。



「俺は美も愛も、永久であるべきだと思う」

『う……あ…』

「なぁ…名前」











「永久にならないか?」






その瞬間、私の中心を何かが貫いた。

温かい液体が体を伝う。

しかしそれとは裏腹に体は冷たくなってゆく。



『サ…ソリ…』



最期にみた彼の顔は、


微笑みながら涙を流しているように見えた。




あぁ、



されている

けれどそれは

んだ









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