弓士は基本、軍の後方で矢を放つため、比較的安全だ。なんて、誰が言ったんだろうね?そんなこと。
安全ならなんで弓士の私は今大怪我してるんだろうね。
「大丈夫ですか?」
衛生兵が声をかけながら治療してくれる。
『あー…なんとか…』
「前に出すぎだ、馬鹿者」
『あ、ヌーゴ様……』
「治療は?」
「今終りました。ではわたしはこれで」
「あぁ」
『あ、あの……ヌーゴ様、』
「前に出過ぎるなと言っただろう。激戦地では常に拙者の横にいろ!守りきれんぞ、名前」
『すみません……ヌーゴ様』
「まぁ…いい。痛くないか?みせてみろ」
私は負傷した左腕を見せた。
「これでは暫く弓は使えんな。多分」
『多分じゃないですよ』
「……む。多分だ」
『多分じゃないですよ!私が一番わかってます…』
「多分だといっている。お前の腕は使えないかもだ」
『だから…』
「拙者が言うのだ本当だ」
『!……そうですね』
優しい嘘
私に気を使ってついた嘘に、
騙されてみようと、そう思った。
貴方の気遣いが本当に嬉しかったから。
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