※殆ど会話
『先輩、医大行くんですね』
「まぁ、夢だったからね」
『外科医になるんでしたっけ?』
「自分みたいな人間をこれ以上つくらないためにもね」
『かっこいいなぁ…』
「僕が?」
『はい。夢にむかって進んでる』
「名前はないの?夢」
『まだ、ぼんやりとしか』
「へぇ、どんなか聞いてもいいかい?」
『大学は、そのまま王城大に行こうと思ってるんですけど。体育科に進もうと思ってるんです』
「体育科?」
『はい』
「スポーツをするのかい?」
『えと、トレーナーになりたくて』
「トレーナーか。ピッタリじゃないか」
『そ、そうですか?』
「今の君の働きを見ていれば一目瞭然さ」
『でもまだ、どんなトレーナーになるかまでは決めてなくて……今みたいにスポーツチームに属するのもいいだろうけど、インストラクターみたいなのもいいだろうし、病院配属でもいいかなって』
「まだ時間はあるからね。ゆっくり考えるといいよ」
『……そうですね』
「何か心配事かい?」
『え?』
「暗い顔をしているから」
『……高見先輩とこれでさよならかとおもって……』
「…たしかに学校は変わる。進む道も違う」
『……』
「でも、道は交わるものだよ」
『え…?』
「僕と名前の道はきっといつかまた交わる。さよならなんて無いさ」
『高見、先輩……』
そういって頭を撫でてくれた高見先輩の掌は相変わらず大きく、優しかった。
Road
進む道は違えど、 夢に進むのは変わらない。
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