『左之さん、おはよう!いい天気だね!』
「おう、名前。おはようさん。こう天気がいいとどこかに出かけたくなるよな」
京の都の新選組と言えば、もう有名だ。
人斬り集団として恐れられ、日々京都の治安を守っている。
特に幹部の腕は確かで、そこらへんの浪士相手なら負けなどしない。
でも、有名になればなるほど、新選組は恨まれていく。
実際、薩摩藩や長州藩が何度か新選組屯所の襲撃計画を練っている、なんて噂も聞いたことがあるくらいだ。
だからこそ、毎日が戦い。
いつ死ぬかなんてわからない日々なのだ。
『いいね!左之さん非番?』
「おう。名前もか?」
『うん!昨日、土方さんが』
「そうか、じゃあ街にでも行って甘味でも食うか?」
『いいね、左之さん!名案だよ!』
私だって仮りにも新選組の隊士なのだ。
いつ死んだっておかしくない。
『こうして街に来るのは久しぶりかも』
「ん?そうか?」
『隊務ではくるけどね。やっぱり違うじゃん?』
「そりゃあそうだな」
『ねぇ左之さん、手ぇつないでいい?』
「ん?いいけどよ。どうした?」
『ううん、特別意味はないんだけど、こうしたいなって』
「ほら」
『やっぱ、左之さんの手は大きいや』
「まあな」
だから私は悔いが残らないように、精一杯生きるって決めたんだ。
命短し恋せよ私
「ほら、口元に餡子がついてるぞ」
『ありがとー左之さん!』
「ったく、外でそんな顔すんじゃねぇよ」
『左之さん限定だよん』
「言うようになったな」
『えっへへ』
Title by リコリスの花束を
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