海賊は長い間海の上にいる。これが何を意味するか。
海賊は対外が男だ。まぁ、私のように例外はいるが。
……わかるよ、うん。いや、わかんないけど、なんとなくはね。
そう、溜まるもんは、溜まるんだ。うん、まぁ、しょうがない。生理現象だろう。
だから島に上陸、なんてなったら、船番のクルー以外は基本朝帰りだ。
まぁ…許すよ。うん。
でもね、もし、恋人がその状態だったら…。
それは許せないよね。
でも、私に勇気があれば、言うよ。
でも私は臆病者。嫌われるのが怖くて怖くてたまらないんだ。
時刻は10時を回ったところ。昨日島に着き、それぞれが好きにしている。
私は昨日のうちに買い物も済まし、特に欲しいものもなかったため今日は部屋に閉じこもっている。
報告書でも書こうと思ってペンをとって早1時間。どうしても、彼が頭にちらつく。
一応私の彼氏で、この船、白ひげ海賊団4番隊隊長サッチだ。
で、その本人は、昨夜出かけたきり帰ってこない。
そう、朝帰りだ。
……もう、慣れたといえばそれまでだが。これが初めてではないのだ。
ガチャリと部屋のドアが開く。
「よ!名前」
『サッチ……お帰り』
「あぁ。何してんだ?」
『……貴方がサボるからね、報告書』
「あぁ!ワリィ、ワリィ!」
『悪いって思ってるの?』
「思ってるって!ホント、ホント」
『…そう』
「…なんでご機嫌斜め?」
『別に、機嫌はすこぶるいいわよ』
「嘘つけ。何があった?」
『ッ!』
信じられない。
貴方が原因だというのに、それにすら気づかないで…
何があった?だって?
もう、我慢の限界だった。
『いいかげんにして!私はサッチの何?』
「なにって……仲間で俺の…彼女で…」
『その彼女ほっといて朝帰り?ふざけるのも大概にして!!』
「!」
『どうせ私は色気ないわよ!でもね、』
あぁ…泣くつもりなんかないのに、なんで視界がゆがむかな…
『苦しいよ!サッチが好きなんだもん!』
「名前…」
『もういいよ……ごめんね…』
「名前…」
フワッ…と私はサッチに抱きしめられた。
女物の香水の香りにまた涙があふれる。
『はな…して…!』
「離さねぇ」
『やだ……!』
「ごめん…そんなつもりじゃなかったんだ…お前を傷つけるつもりじゃ…」
『じゃあ何?何のために町の女抱いたって言うの?』
「お前は…大切にしたかった」
『!』
「いざ、お前を前にすると…すぐに理性がどうにかなっちまいそうで…壊しちまいかねなかったから…」
『…サッチ…』
「その涙は…俺のせいだな…」
目尻にキスが落とされる。
「気づかなくて、ゴメンな?」
『ううん……私こそ、ごめん。サッチは私のことを想ってくれてただけなのに…』
「じゃあ…おあいこでいいか?」
『うん。』
「…名前…好きだ」
『私もだよ…』
そんな貴方だから最後には許してしまう
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