『………いない』



此処はネクロス城。

普段城には将軍が1人残っていて、それも交代制になっている。


しかし、なぜか戦場には二人の将軍しか出ておらず、少し兵もパニック状態。


特にパニックになっているのが……



『アルケイン様どこぉぉおおお?』



そう、将軍アルケインの軍の兵たちだった。



自分の上司の戦場に出なければならないわけではないが、上司がいないとなれば部下からすれば戦争どころではない。


国王カイゼルとともに戦場に立っていた名前にアルケインがいないという伝令が来たのが3時間ほど前。


3時間かけ馬を走らせ城に戻ってきたのだった。



「名前さん…見当たりません……」

『あの人は…どこに……』

「葡萄畑もくまなく探しましたが……」

『……とりあえず今日はもう休もう。明日出撃する兵だっているんでしょう?』

「ですが……!」

『私は特例で帰ってきたんだ…明日の夕方には私だって戻らなければならない』

「………」

『日の出とともに捜索を再開します』

「わかりました」

『私も少し休もう……部屋にでも戻るか……』



そういって私室にもどり、仮眠をとることにした。



『………ん?』



しかし私室のベッドにはふくらみが存在した。



『……まさかね、』



ばさっと勢いよく布団をめくるとそこには今まで血眼で探していた紫色があった。



『…アルケイン様ッッ!!何をなさってるんですかッ!探したんですよ!?』

「ん……名前…?どうしてここにいるの??」

『あなたが居ないと報告を受けて、馬を飛ばして帰ってきたんです!なのに……貴方は……っ…しんぱい…したんですよ…??』

「名前……最近、僕の戦場の担当が少なかっただろ?」

『……ここ3週間、そうですね』

「僕、少しさみしかったんです」

『え?』

「…久々に城に戻ってきても、君の姿は見えなくて。気が付いたら君の部屋に来ていた」

『……』

「無意識に、君を探していたようだね。」

『もう……心配かけないでください』

「うん…わかった」



長い一日



(私、明日の夕方には戻らなければならないので)

(え!)

(静かに待っててください、侵略成功させて帰ってきますから)

((……僕は君が無事ならそれでいいんだけど))




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