王者アメリカのそのまた頂点に君臨する“五芒星”
日本人である私が、この人たちのお世話をしている理由としてあげられる項目は3つ。
1、私が日本生まれアメリカ育ちであるから。
2、家族がこぞってアメフト好きで、私も必然的に好きになったため。
3、五芒星……ペンタグラムの一角、クリフォード・D・ルイスが、なんの因果か近所であったため。
私は昔から運命、なんて言葉を信じるようなタチではないが、こればっかりはなにかある。
ここまでの思考のアクションタイムが約1秒。イコール、パソコンのキーボードを叩く音が止んでいた時間も約1秒。
1秒がどんな時間かわかるだろうか?
人は1秒をものすごく短い時間だと考えるだろう。
実際この一秒は短い。
しかし、この一秒が私には命取りになる。
「ボサッとしてんな、この馬鹿」
『なっ!?』
約一秒の間に飛んできたこの言葉。
声の主は、声のする方向などを見なくてもすぐわかる。
王者アメリカが誇るQB、クリフォードだ。
「は…間抜けな顔だな」
『あのね……』
「今度は眉間にしわ」
『その言葉、そっくりそのまま返してあげる』
なんでこんな奴がモテるのかわからない。
あぁ、コイツの本性を知らないからか。
……たしかに?
顔は整ってるし?スポーツだって出来るわけだし?QBやってるってことは頭だっていいってことだし?
モテる要素は揃ってるけど……
『ただの我侭王子なだけだって』
「なんだと?もう一度いってみろ」
『……声出てた?』
「あぁ、バッチリな」
『はは……』
「ホラ、もう一度言ってみろ…?名前」
『ほ、星の王子さま?』
「こっちこい、名前」
笑顔で手招きするクリフォードに私は戦慄した。
その人、王子様につき
(黒いオーラが滲んでますよ、王子……)
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