誰もが寝静まる真夜中。私はとある部屋を訪れた。
『キッド……』
「あ?なんだ…夜中に…」
……悪夢。
そう、悪い夢を見た。
「チッ……こっち来い」
『うん……』
ベッドに座っているキッドに近づく。
ベッドの横まで行ったところ抱きすくめられた。
『わ……っ』
一気にキッドの香りに包まれる。
「ったく……で、どんな夢を見たんだ?」
『よくは、覚えてないけど……キッドが、遠くに行っちゃう夢だった……』
「ハッ!」
キッドは鼻で笑うと、大きな手で私の後頭部をつかみキッドの胸へと押し付けた。
『ん……』
「俺はどこにもいかねぇよ。俺は今ここにいる」
『そだね……』
「不安だったら傍にいろ、俺から離れんな」
『うん……』
「俺も、お前を離すつもりはねえがな」
キッドは私の顔を持ち上げて、荒々しくキスをした。
その温かさに溺れる
私はキッドに抱きしめられながら夜を明かした。
その時に見た夢は、
とても幸せな夢だった。
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