“殺戮武人”だなんて、一体だれがつけたのか。


まぁ……戦闘中の彼だけ見ればそうなのかもしれない。



得物を振り回し、舞うように人を殺めていく様は殺戮を楽しんでいるかのように見えなくない。





でも……今の彼だけを見れば、誰が“殺戮武人”だと思うだろうか。





『キラー……少しだけ、苦しいかな?』

「……すまない」



と、謝りながらも、抱きしめる腕の力は一切弱まらない。



『キラー、何かあった?』



できるだけ優しく、この彼をいたわるように声をかけてみる。



「ん……名前……」



彼の腕の力が少し強くなった。



『キラー、私はここにいるよ?』

「ん」

『どうしたの?』

「……お前が、海に溶けていきそうな気がして……」





ほら。


こんな彼が“殺戮武人”だなんて、


おかしな話でしょう?





名前とは裏腹に



(大丈夫、海になんか溶けないよ)

(すまない……苦しかったか?)

(フフッ…少しだけ)




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