「待てと言っている!」

『待てって言われて待つ人間はいないよ!』



戦場は校舎内、只今3階廊下。

私は、我が校が誇る鉄壁の風紀委員とプライドをかけた追いかけっこを行なっていた。



「お前が、その、スカートの丈を直せば済む話だろう!」

『やだよ! これが私の許せる範囲! これ以上長くちゃ可愛くないし!』

「そういう問題ではない。風紀が乱れるだろう」



私は一気に階段を駆け降りる。

相手はまだ付いてきているようだ。



『しつこいわね! 斎藤!』

「あんたもな」



チラチラと後ろを見ながら走る私に対して、獲物を見るような目で私を見つめ、ただひたすら追い続ける斎藤。

そのせいだろう。

私は曲がる道を間違えたことに気がついていなかった。



『っ! 行き止まり…!』



気がついたときには時すでに遅し。



「さぁ、直してもらおうか」

『なんでそんなに私ばっかり……他に短い子いるじゃん!』

「そ、それ、は……」

『な、なによ……』

「……あんたのその、足が、他の奴らに見られていると考えたら……」

『!』



スカートの丈を巡る死闘



軍配は斎藤にあがった。


(あんなこと言われたら直さざるを得ないじゃない…っ)





Title by リコリスの花束を



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