気付けばそこに居た存在。
それは今や当たり前となり、自らの日常と化していた。
「むぅ、少し寒いな」
『コートをお持ちしておりますが、羽織りますか?』
「あぁ」
しかし、彼女も他の兵同じなのだという。
自らの命をもってして王である余を守る存在だという。
それが彼女にとっての存在理由だと語った。
戦いは日に日に激化していく。
そして昨日まで余に戦況の報告をしていたものも、今朝方、戦死したという知らせを聞いた。
戦いというものはこの世界の常だ。
それはもう、余が九つの時からこの身を持って体験している事実だ。
だが、
この当たり前が壊れるのは避けたいと思う自分がいた。
『ネフィリム様。では、私は戦場へと行ってまいります』
「……そうか……名前」
『はい。なんでございましょう?』
「帰って来い。いいな?」
『勿体無きお言葉』
そして彼女は余に背を向けた。
余らしくもなくこう思うのだ。
願わくば永久に傍らに
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