「ぎゃあ」
ネクロス城、謁見の間では皇帝に対しての報告会が行われていた。
王座に腰掛け、持ち前の艶のある黒髪をたなびかせている皇帝、ネフィリム・ニーベルエンド。しかし今はその玉座から立ち上がり、一級品であろう剣を片手にその切っ先を振り下ろしていた。
謁見の間に轢かれている高級絨毯は血で赤く染まる。謁見の間出入口付近で控えていた兵たちはその様子を見てため息を吐いた。
この報告会に参加する兵は皆、直属の兵だったりランカーを拝命している者たちだ。言わば、長きに渡って戦場に立ち、数々の戦績を収めてきた玄人達だ。そんな彼らだからこそ、目の前の出来事にただただ、ため息を吐いたのだ。
「ちょっと陛下ぁ〜ヒドいですよ〜」
皇帝の剣によって飛ばされた首から声がした。この光景を他国の兵や新兵が見たらどうなるのだろうか。なんてことを頭に巡らせながら、兵たちは目の前のやりとりを眺めた。
「貴様が砦を防衛できなかったからであろう、アルケイン」
「しょ、しょうがないじゃないですかぁ」
「フェルト!」
「チッ、しょうがない。俺の全軍に伝えろ。2時間後に集合だ」
「はっ」
謁見の間から一人の将軍とその部下が出ていく。
「あいかわらずだねぇ、アンタも」
「メリーさん……」
「…名前」
『はっ』
ネフィリムが一人の兵の名を呼ぶ。そしてその名前ともう2人の兵が前に出て、自らの上司の切り離されていた首と胴体を持ち上げた。そしてその切り口をピッタリと合わせる。
これも手馴れたものだ。
合わせると、ものの数秒で神経がつながり元通り。
「すみませんねぇ」
『いえ』
「いつものことですから」
「アハハ……」
「笑い事ではないぞ、アルケイン。貴様の出した損害は大きい……どうする?」
「それはもちろん、戦場で戦っ「そうか。余にワインを献上するか」…えっ!?」
「名前。アルケインが隠し持ってるワインを余に献上しろ」
「え、名前、まさかそんなこ『かしこまりました』嘘!?名前!冗談だよね!?」
「五月蝿い」
「ぎゃあ」
首切りラブソング
(とりあえず、私の持ってるワインでごまかそう)
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