ネクロス王国は中心部ネクロス城。
いつもは静かなこの城も、この日は騒がしくなっていた。
「テオドアが城の奪還をするそうだ! それを今回食い止めにかかるらしい!」
「流石我等の国王陛下!!」
「今各軍の精鋭を集めているらしい」
「何人くらい募るのだろう?」
「ざっと、3万程度ではないか??」
「俺は選ばれるかな?」
「お前はどうせまたアルケイン様の葡萄畑行きだ!」
「「「「「ははは!!」」」」」
テオドア城。
元は一度ネクロス軍のものとなっていた城である。
しかし、ここのところの戦争の激化で城の守りが薄くなっていた。
そこをテオドアは見逃さず、
ありったけの兵を使い今回攻めてきたというのだ。
今回、その戦場の指揮をとるのが、ネクロス王国の国王、カイゼル・ニーベルエンド直々だという。
そして、各軍の精鋭の兵を募ってるとのことだった。
ネクロス王国、アルケイン直属軍不死世界に所属する名前。そんな名前も今回、集合がかかっている兵の一人だ。
『…久々かな。カイゼル様とともに戦場へと赴くのは……』
最近はあまり戦場立っていなかった国王のカイゼル。どちらかといえば将軍ヌーゴの方が最近は戦場に立っていたと名前は思い出した。
『長期戦になるだろうし……消耗品の弓を持っていくか』
「名前!」
『アルケイン様?』
「テオドア城に行くそうじゃないか」
『はい。私にも招集がかかりました』
「僕も行きたいんですが……生憎城の警備に回されてしまいましたよ……」
『そうなんですか??』
「えぇ……陛下め……」
『?』
「はいるぞ! 名前!!」
『カイゼル様!』
「陛下……」
「……アルケイン……ここで何をしている?」
「名前の激励に」
「そうか、ではもう用は済んだだろう? さっさと出ていけ」
「まったく。名前、気を付けてくださいね」
『?』
アルケインの言葉に首をかしげる名前。アルケインは部屋を出た。
「名前準備のほうはどうだ?」
『順調に進んでおります』
「そうか、今回のお前の活躍、期待しているからな」
『ありがたきお言葉。この名前カイゼル様のご期待に添えれるように戦う所存でございます!
「……名前」
カイゼルは名前の名前を呼ぶと、名前の顎を持ち上げた。
『カ、カイゼル様……っ』
「名前俺様を讃えるか?誉るか?」
『も、もちろんでございます。カイゼル様のことは本当に……感謝してもしきれないですし……』
「名前」
『え? か、カイゼル様……ち、近っ……!』
その距離約10センチ。
そう、もうすぐ触れ合う。
その時、
バァーンと大きな音を立てて開いた扉。
「名前っ! 大丈夫ですかっ!?」
『あ、アルケイン様?』
「!? 陛下……名前の顎をつかんで一体何をなさるおつもりで?」
「チッ、邪魔が入った。何をしようと俺様の勝手だろう」
「事と次第によりますよ」
『あぁ!お二人ともおやめください!』
「止めるな!名前!!」 「止めないでください!名前!」
『……』
「アルケインよ。名前は俺様のことを崇拝しているといっていた。どうだ?」
「それは貴方が国王陛下だからでしょう?」
「感謝してもしきれないともいっていた」
『! カイゼル様っ!!』
「っ!それは、陛下がたまたま…」
「フフ、どうだ?」
「っ……ではなぜ、名前は陛下の直属軍に入らないのでしょう?」
「!?」
「ね? 名前?」
『そ、それは……っ』
「名前! どうしてだ! お前の実力なら俺様の直属軍にだって……」
『私は…カイゼル様を本当に尊敬し、ついていきたいと思っております。……ですが、私がお側におりたいと思うのはアルケイン様……ですので、』
「!」
「そういうことですよ、陛下」
「っ……今回はそういうことにしておいてやるアルケイン。名前、俺様はいつでも大歓迎だからな」
『は、はい!』
「では、また後でな」
カイゼルは二人に背を向け、部屋を出ていった。
「名前、何もされてないですか?」
『は、はい』
「よかった……」
『アルケイン様……』
「フフ、少し陛下をいじめすぎたかもしれませんね」
『……』
「でも、名前は陛下のことも大好きですからね」
『あのお方がいなければ私は死んでいました……あの方のためならこの命くらい』
「……そうですか」
『でも、』
「?」
『ネクロス王国の国民全員がカイゼル様のことを崇拝していますよ、きっと』
「そうですね」
慕う者
貴方のおかげで、
私は今、生を受けているのです。
だから……、 [*前] [栞] [次#]
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