よく、本を借りに来る男の子がいる。


此処は帝黒学園。

関西でも有名な学校でかなり大きい。

そんな学校にあるこの図書室は、図書室というよりも図書館で下手な市立図書館よりも種類が豊富だと思う。そんな図書館で私は図書委員をしている。理由は本が好きだから。週に2回、私はここで図書当番をしている。図書当番といっても、カウンターに座ってるだけ。返却した本を棚に戻すのはそんなに大変な作業じゃない。私の担当は金曜日で比較的人が多い日だ。そんな中でももう顔を覚えてしまった男子生徒がいる。確か名前は、本庄鷹くん。高身長で、細身の制服がよく似合っている。長い髪の毛も綺麗で、思わず目が奪われる。そんな彼は良く本を借りに来る。毎週のように金曜日に顔を見る。そのたびに違う本を借りていてすごいなって思ったり。私が読んだことある本だと、それ面白かったよって思ったり、読んだことのない本だと、今度読んでみようと思う。話したこともないくせになぜか彼に惹かれてる。

ほら今日も、彼はやってきた。

まっすぐ彼は小説が置いてある本棚のコーナーへと足を運ぶ。5分くらい経つと1冊の本を手に取り戻ってくる。その姿が余りにも様になりすぎていて私は今日も目を奪われる。彼が目の前にやって来たところで意識が覚醒して、私は本来の仕事に取り掛かる。でも彼の視線が妙に気になって、私は意を決して話しかけた。



『本、好きなんですか?』

「…まぁ」

『毎回顔を見かけるので…毎日ですか?』

「いや……金曜だけかな」



その言葉にはっとする。
金曜日だけという言葉に少し期待を覚える。……でも、偶然だろう。彼はきっと比較的金曜日が暇でたまたま金曜日に来ているだけ。
きっとそう。



『そうなんですか。金曜日が私の担当なのでよく顔を合わせるんですね』

「知ってる」

『へ?』

「君が金曜日担当なのは知ってる」



私は思わず顔を赤くした。そんなこと言われたら、嫌でも期待してしまう。



『そ、そうなんですか……』

「俺、本庄鷹。名前、聞いてもいい?」

『あ、苗字名前です…!』

「名前、か。俺、名前のこと好きなんだ」

『っ……!』





図書館物語





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