非番の今日。
私は一人京都の町を歩き、甘味処へと足を伸ばしていた。
普段は誰かに貰った団子や饅頭なんかを食べているが、こうして店先で出来立てを食べるのがやはり一番おいしいと思う。
賑やかな京の通りの店先で、あったかい緑茶をすすりながら三色団子を口に運ぶ。なんて幸せなんだろう。こうしていれば普段の鬱憤もなくなるというもの。それに土方さんのうるさい説教も耳に入ってこない。最高だ。
「のんきなものだな」
『……なんでいるの?』
土方さんの代わりなのかなんなのか。
なぜか私の目の前には風間千景が立っていた。
「いることに理由が必要か?」
『……めんどくさ』
すると何故か私の隣に腰掛ける風間。
『なんで座るの?どこかに行く途中じゃなかったの?それとも私に斬られたいの?』
「騒がしい女だな」
『悪かったわね。生憎お淑やかな女を目指してないので……って、なんで私の団子食べてるのよ』
「いいだろう。減るわけでもない」
『いや、明らかに減ってるから』
しかもお茶まで啜ってる。
「まあまあだな」
『高貴な鬼ですものね』
「よくわかっているではないか」
『あーもうやだ』
「では俺はもう行く」
『あー行け。行ってしまえ!』
そうして私の団子とお茶を見事に減らした風間は去っていった。
『もう、どうしよ。お金もあんまり使いたくないしな……帰るか。すみません!お勘定お願いします』
「え?先ほどの男の方が払ってましたけど……」
『え?』
「あ、多めに払ってくださって、その分で団子を包めと言われたので包んだんですけど」
『……あのヤロ……』
不覚にも
(ときめいた私がいる)
[*前] [栞] [次#]
|