普段、これでもかというほどの大量の本で埋めつくされたローの私室。私は今日、宴に乗じてローの居ないうちにローの部屋の掃除を始めた。
いくら片付けろといっても片付けないのだからこうするほかない。
『ふぅ……』
どうにか床に散乱していた本をもとあった棚へと戻し、床が見えてきた。見えてきた床を雑巾がけする。
なんとか掃除が一段落着くと、扉が開いた。
『あ、ロー。おかえり』
「……あぁ」
ツカツカとやってきたローの顔色は普段よりいいように見える。いや、アルコールが入ったからだろう。
それでも足取りはしっかりしているようで、私の目の前までやってくるといきなり私を抱きすくめた。
『ちょ、ローっ?』
「ん……名前…」
『酒臭……どんだけ飲んだのよ…』
「名前…」
『ひゃっ……!』
私を抱きしめているローは私の首筋に顔を埋め、舌を這わせた。
私も抵抗するものの、ローに勝てるはずもなく為すがままになる。
「名前……」
『な、に……』
「好きだ」
『……え?』
「俺から離れるな…」
『ロー……』
普段、滅多にそんなことを口にしないロー。
私もローの背中に腕を回した。
急性君中毒
患者は二名。
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