最終話ネタ





必死の受験勉強の結果、あの有名な最京大学に入学出来た私。入学理由は少し不純だけどこの際どうでもいい。



今日はなんでも炎馬大学と恋ヶ浜大学との練習試合があるそうで、見学に行くことになっている。ちなみに、この試合をセッティングしたのはアノ人だ。しかし、試合会場に到着してもそのアノ人の姿が確認できない。



『連絡だってきてないし……十文字くん知らない?』

「ハァ?知らねぇ」

『一休先輩は?』

「聞いてないっす」



すると、向こうの方から猛スピードで車が一台来るのが見えた。



「YA――HA――!ケケケ、道開けやがれ!武蔵工務店特注偵察タワーカーだ!」

「ちょっとー!安全運転!上に乗ってる私のことも考えてよね!」



車を運転しているのはヒル魔さんで、その上には姉崎さんが乗っている。そう思えばなぜか姉崎さんも最京大だった。



「どこにあんな車つくる部費があったんだ」

「なんか学長脅迫したとか言ってたっすよ」

「早くも最京大、陰から牛耳ってんのかよ」

『……』

「……名前?」

『…私、何も聞いてない』

「は?」

『偵察カーのことも、それに乗って今日ここに来ることも、それに姉崎さんが乗ってることもなにもかも!』



醜いかもしれないがこれは嫉妬だ。きっとそうなんだと思う。今現在進行形で楽しそうにヒル魔さんと話している姉崎さんへの醜い嫉妬なんだと思う。なんて惨めなんだ、自分。

私は持っていた炎馬大学の資料を握りつぶした。



『1年って、大きいんだね、十文字』

「………」

『なんか、ヒル魔さんが遠いや…』



私は何か飛びぬけてるわけじゃない。姉崎さんみたいになんでも卒なくこなす人とは違う。何をやるにも時間がかかるし、ミスも多い。そりゃあ、愛想つかすかもしれないけど。



『馬鹿』



言いたくもなる。



『ヒル魔さんのばかぁぁあああああ!』

「誰が馬鹿だ、大馬鹿」

『ッ!』



気づけば背後にその人はいた。



「なに頭湧いたことしてやがる。馬鹿に拍車がかかったか?」

『……っ』



私はほんとに惨めになって、あふれる涙をこらえるために唇を噛んで下をむいた。



「……ったく、おまえは」



気づけば私はヒル魔さんの香りで包まれていた。



「一人前に嫉妬か?」

『う、るさいっ!』

「ケケケ、合格だ」

『……は?』

「わざとだよわざと。お前を嫉妬させるように仕向けた」

『な、なんで……』

「遠慮するからだろ、お前が」

『………』

「誰もお前に愛想つかしてねぇよ。バーカ」



わしゃわしゃと頭を撫でられて、なぜか悪い気がしなかった。






計算高さに定評あり





全てはアノ人の手のひらの上だったらしい。


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