『さむ……』



私は寒さで目を覚ました。カーディガンを手に取り羽織って窓の外を除けば、白い花弁が空から舞い降りてきていた。

そう思えば昨日航海士が、冬島の気候に入ったから雪が降るかもしれない、なんて言っていた気がしないでもない。

私は着込んで甲板へと出るとそこは白銀の世界が広がっていた。



『うわあぁ……!』



甲板の板が真っ白く染め上げられている。



「雪かきが必要だな」

『キラー!おはよう!』

「あぁ、おはよう」



いつの間にか背後に立っていたのはキラーだった。

格好はいつもの服に少し厚手のコートを申し訳程度に羽織っているくらい。前はいつも通りはだけている。絶対寒い。



『雪かきかぁ』

「全員たたき起こすぞ、名前」

『りょーかい!』



キラーと私でクルーをたたき起こし、スコップを握らせた。

せっせと雪かきをする屈強な男たちを傍目から見て、私は笑ってしまった。



「何を笑っているんだ?」

『んー?いつもガン飛ばしてるような奴らがせっせと雪かきしてるのが面白くて?』

「違いない」



キラーも周りを見渡し肯定の意を示した。



『っくしゅん!』

「寒いのか?」

『そりゃあ、まあ。キラーは寒くないの?』

「寒い。まだ慣れないな」

『確かに』



南の海出身である私とキラーは今だに冬の気候になれないでいた。

私はハァと息を手へと吐きかけた。



「手が冷たいのか?」

『うん。冷え性なのかな?』

「貸してみろ」

『っ!』



私の手はキラーの手に覆われた。冷たいと思っていたキラーの手は予想を遥かに上回り温かかった。



「冷たいな」

『キ、キラーさんは温かいですね…!』

「フッ、恥ずかしいのか?」

『そ、そんなことは……』



焦る私の姿を見たキラーはそのまま私を抱き寄せた。



『っー…!!』

「真っ赤だぞ?」

『バカキラー!』



耳元は反則だと思います。



白銀世界



(あー?あそこだけ夏島じゃねぇか)
(頭。ですよねー)




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