夢の中で骸に出会えるのが私の楽しみになりつつあった。しかし毎回骸に会えるわけではないらしく会えない日はどこか寂しくなった。
検査という名目の入院からすでに5日が経過していて、日替わりでテニス部がお見舞いに来てくれた。
『ありがとう、ブン太』 「いいってことだよぃ!な、ジャッカル」 「あぁ。それに俺の奢りだしな」 『ありがとう、ジャッカル』
今日はブン太とジャッカルがお見舞いに来てくれていた。それから蜜香も。ブン太が手土産で美味しいと評判のケーキを買ってきてくれて、まあそれはジャッカルの奢りっていういつものパターンなわけだけど。
「で、どうなんだよぃ?」 『明日最後の検査があって、明後日に全ての結果が揃うことになっているらしい』 「ふぅん」 「でも、割と元気そうで安心したぜ」
そう言って笑うジャッカル。
「じゃあそろそろ帰るか」 「また来るよぃ」 「あ、二人とも先に言ってて。すぐに行くから!」 「わかった」
二人は病室をあとにする。残った蜜香。
『何か用?』 「いや、釘を刺しとこうかと思って」 『釘を刺す……』 「アンタは精市を殺してることを忘れないでよ」 『!』 「これを機にテニスをやめて、なんてくだらない考えは抱かないことね」 『っ』
どうして。どうしてこうも私は自由に生きることができないの。蜜香が言っていることは本当なのかもしれない。でも、私に精市を殺した記憶はない。どうして、こんなに苦しいの。
「ちゃあんと精市にならなきゃ、私アンタをどうするかわかんないわよ」 『!』 「いいわね」 『どうして、そこまで精市にこだわるの?』 「どうして?当たり前でしょ。この世界で精市はとても重要だからよ!なのにアンタが殺したからっ!」
本気の眼をした蜜香。
でも、どうしてだろう。彼女の眼に浮かぶ感情は精市を思ったものではないように思える。そんなこと、私がわかるはずもないけれど。
「そういうことだから。じゃ」
それだけ言い残すと蜜香は病室をあとにした。
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