「どうしたい?精チャン」 「……え?」
急に俺の顔を覗き込むように問いかけてきた白蘭。その質問の意図がわからなくて俺は困惑する。
「これからもずっとこんなところにいるのかい?」 「だって、俺は」
俺は逃げた。そして俺の「代わり」を世界においてきたんだ。
「だって、ねえ……」 「だって、もうどうしようもないじゃないか!俺は逃げたんだ!未来から可能性から!それを全てあの子に押し付けて俺は逃げたんだよ!!」 「それが清算出来るとしたら、したい?」 「したい……っ!そしてあの子に謝りたい……」
今更謝っても謝りきれない。許されないことを俺はしてしまった。
「その心に偽りはない?」 「ないよ」
俺は白蘭をまっすぐに見つめた。
「うん!いいね、その眼!気に入ったよ」 「白蘭……?」 「精チャンもそしてあの子……幸村市花も大丈夫だよ」 「!」 「だからこんな暗いところじゃなくてさ、もっと明るいところに行こうよ。あ、そうだ」
何かを思い出したかのようにごそごそを漁る白蘭。そして取り出したのは袋。
「はい。あーん」 「あーん?」
むにゅ。
口の中に放り込まれた柔らかくて甘くて白いもの。
「ふふっ。どう?美味しい?」 「マシマロ?」 「御名答!精チャンとは明るい部屋で花でも見ながらお茶したいな」 「白蘭……」 「だからさ、頑張って立ち上がってみてよ」
スッと細められた瞳から感じるのは真剣な白蘭の意思と覚悟だった。俺も、俺も覚悟を決めなければならないようだ。
「ありがとう、白蘭」 「いーえ」
そしてまた「ふふっ」と笑う白蘭に思わず俺も笑ってしまう。いつぶりだろう、こんなにも楽しく笑えたのは。
……あぁ。あいつらと一緒にテニスをしていたときだ。
懺悔の声は波音に消され
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