レンリツ方程式 | ナノ





現在時刻午前4時45分。まだまだ外は暗い早朝とも言うべき時間帯。私は厨房に立っていた。

昨晩ボトルを洗い終えたあと私は厨房へと戻り朝食の下ごしらえを行っていた。昨日考えたのだけれどやはり洋食と和食を両方用意することにといっても大したことはしていない。パンの生地を作ったこととお米を洗って水に浸しておいたくらいだ。

とりあえず私は炊飯器のスイッチを入れた。

私が起きたのは4時。15分で支度をした私は乾燥室へ。干しておいた洗濯物を取り込み言っておいたとおり各部屋にジャージを返却しておいた。なんとか乾いていたようで一安心。そして今現在といったところだ。

ちなみに、弦一郎はもう起床済み。たまに外から奇声が聞こえてくるがまあ、聞こえないふりだ。

パンはまあ20分もあれば焼けるし焼きたての方が美味しいことは目に見えているのでまだ放っておく。とりあえずおかず作り。

朝はバイキング形式もどきにしようと思っている。大皿にいろいろ置いておいて好きなものを取るという方式だ。

洋食でも和食でも食べられるようなものでめんどくさくないものを用意する。

品目は「卵焼き」「焼き鮭」「きんぴらごぼう」「生野菜のサラダ」「ベーコンとウィンナー」「スクランブルエッグ」「ほうれん草のソテー」「唐揚げ」「フルーツの盛り合わせ」「ゼリー」「ヨーグルト」といったところ。それにふりかけと納豆を出しとけ置けばまあ問題ないだろう。飲み物は牛乳とコーヒーと紅茶とオレンジジュースでも出しておけばいいだろうし。

とりあえず卵を大量に溶きほぐす。ごぼうを切って水にさらして人参も同様に切っておく。レタスは手でちぎってきゅうりも切っておく。アスパラとブロッコリーとカリフラワーを一緒に茹でる。ミニトマトのへたは取っておく。

唐揚げ用の鶏肉を合わせ調味料の中でもんでおく。ゼリーは昨日の夜に作って冷やしてある。フルーツも後ででいい。とりあえずスープを作ろうと思う。卵スープとお味噌汁の二種類。卵の方はコンソメ仕立てでお味噌汁はなめこにしておいた。別に弦一郎を意識したわけではない。


時計を見やれば5時30分。朝食は一応時間が自由になっていて6時30分から7時30分までに取れとのお達しだ。練習は9時から。

私はパン生地をバターロールの形に成形。それを天板に並べてゆく。一度に焼けるのは12個ほどなようだ。生地の量から見て計60個程は焼けそうだから5回で全て焼き終わる計算といったところ。

私はあっためておいたオーブンにパンをいれた。


「未久」
『おはよう、弦一郎』


朝の特訓というかトレーニングというかを終えた弦一郎は食堂へとやってきた。私はコップに水を注ぎ渡す。それを受け取った弦一郎はそれを一気に飲み干す。


「結局一人で準備か」
『まあね。でも嫌いじゃないし料理自体は』
「そうだな。未久の料理はどれもうまい」
『ありがとう、弦一郎』


弦一郎は手近にあった椅子に座る。


「和食と洋食、どちらも用意したのか?」
『まあね。弦一郎は絶対和食でしょ?』
「絶対というわけではないが、家ではそうだな」
『なめこの味噌汁にしておいたから』
「なっ!?た、たまらんな」
『美味しいかどうかはわかんないけど』
「問題ないだろう」


弦一郎は首にかけていたタオルで汗を拭きそして笑った。


『んじゃ、鮭でも焼きますか』


グリルに切り身を並べていく。そして卵もフライパンで次々と焼いていく。


「相変わらずの手際の良さだな」
『手際って重要だと思わない?どんなにいいプロジェクトだったとしても不手際があったらそこでパーなんてこともあるんだし』
「そうだな」


次々と出来上がっていくおかずの数々を引っ張り出した大きなお皿に盛り付けてゆく。


『弦一郎、暇なら運んでよ』
「あぁ、もちろんだ」


弦一郎は二つ返事で皿を運んでいく。そして早起き組が次々とやってくる。


「流石は早いな弦一郎」
「どうせ4時に起きたんでしょ?」
「あぁ、蓮二に幸村か」
「おはようございます、幸村くん真田くん柳くん。それに未久さん」
『おはようございます。朝食はもう少し待ってくださいね』


私は最後の仕上げへと突入。フルーツのカットだ。リンゴとオレンジどグレープフルーツとパイナップルを食べやすいようにカットする。あとはチェリーといちごとを皿へ盛り付ける。


『こんなもんかな』


カウンター前に置かれた長机の前には出来上がったおかずが並んでいる。あとは保温性のある容器に汁物を入れておき、バスケットに入れたバターロールとご飯の入った炊飯器をセット。あとはそれぞれを盛り付ける食器を並べれば完了。

時刻は、6時20分。


『疲れたー』


私はバターロールをひとつ手に取り牛乳で流し込んだ。これで私の朝食は終了だ。人間一日3食は食べなくても生きてゆけるものだ。


「これを一人で用意したのかい?」


幸村さんが驚いたように声を上げた。


『これって言ったって簡単に作れるものばかりですよ。切って焼くだけですもの大体』
「しかしこの量はなかなかだぞ」


柳さんも瞳を開眼されている。びっくりしたけどなかなかイケメンだ。


『もう出来上がっちゃいましたし食べてもらってもいいですよ。めんどくさいし』
「明らかに後者が本音だろう」
『当たり前』


私はあとのことを立海の3強に任せてマネージャールームで仕事をすることにした。

この間に食堂でひと波乱あったことなど、その時の私は知る由もない。



手際が握る命綱


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -