合宿においてのマネージャーの仕事は様々だ。タオルやドリンクの用意はもちろん、洗濯に掃除など。かと思えばタイムキーパーや球出し球拾いもやるし、ボールの選別や用具の整備コート整備もする。
それから、今日の昼食はお弁当の注文がされている(一個3000円もするお弁当とかもう次元おかしい)のだがそれ以降の食事は全てマネージャーの仕事となっている。
マネージャーは私と妖兄、宝華梨々と萩ちゃんだけれど萩ちゃんはタイムキーパーや球出しなんかを中心に練習にも参加する予定だ。つまり実質3人。私自身、ドリンクはほぼ毎日200人分作っているからいいのだけれど問題は料理である。
彼女が料理をするだなんて、思えない。
氷帝には学食があるから(想像を遥かに超えた豪華な学食)弁当なんて持ってきていないだろうし、一人暮らしといっても自炊なんてしなくてもご飯が食べられる時代なのだから。
と私は部長会に参加しながら考えていた。
別荘内にある会議室。そこには各学校の部長とマネージャーの役を担う4人、そして青学の顧問と氷帝の顧問、つまりは太郎ちゃんが集まっている。
「練習日程はその資料に書いてある通り、3日間は午前が基礎練習午後は技術面の強化を図る練習だ。せっかくの合同合宿だ全校混ぜて4チーム作った。資料の裏面に書いてある。異論がある奴はいるか?」
「ないよ」
「えぇ考えやと思うわ」
「問題ない」
「実質最終日である土曜日は練習試合だ」
跡部さんがサクサクと説明を進めていく。流石は部長の集まりというか落ち着いた雰囲気だ。
「それで、マネージャーの割り振りだが、」
跡部さんが資料から視線を上げてこちらを見てくる。
ちなみに、作った4チームはもちろん能力などをバランスよく分けたものだが他にも重要な役割を果たしている。
先ほど宝華梨々と対面し堕ちたと思われる人物を固め、逆に確実に堕ちていない人物もこれまた固めた。
Aチームが、
幸村精市、仁王雅治、宍戸亮、忍足侑士、桃城武、菊丸英二、忍足謙也、一氏ユウジ
Bチームが、
手塚国光、不二周助、海堂薫、柳生比呂士、ジャッカル桑原、石田銀、鳳長太郎、向日岳人、芥川慈郎
Cチームが、
白石蔵之介、金色小春、小石川健二郎、大石秀一郎、河村隆、真田弦一郎、切原赤也、樺地宗弘
Dチームが、
跡部景吾、日吉若、千歳千里、財前光、柳蓮二、丸井ブン太、乾貞治
となっている。
「萩之介」
「なんだい?」
「お前は俺のチームのマネージャーをやれ。ついでに練習にも混ざれるようにな」
「わかった」
特に酷いチームはAチームとなっている。何故立海のあのふたりを置いたかと言えば、幸村さんならばあのメンツでも抑えられるのではないかという予想の元だ。そして仁王さんならばいくらでもペテンでごまかすことができるだろうと考えた。
Bチームにも氷帝の酷いのがいるが、そこに比較的落ち着いた雰囲気の人物を置いてカバー。手塚さんならばきっと大丈夫だろうと判断。
Cチームははっきりわからない人物を多く置いた。白石さん然り、だ。だがあまり感情的にはならなさそうに見えた。
Dチームは見たとおりだ。そして萩ちゃんにも楽にそして楽しく練習してもらえるように配慮したつもり。
「宝華、お前はAチーム」
「わかったぁ!」
「蛭魔、お前はCチーム」
『わかりました』
「そして真昼。Bチームを頼む」
「はい」
「あとは各自部長に一任する。いいな?」
「了解や!」
「あぁ、わかったよ」
「了解した」
「じゃあ一旦解散。昼飯は12時30分からだ。食堂に集まるように各部員に通達しておけ」
そしてその場は解散。私も一旦部屋に戻ろうと廊下を歩いていると背後から声をかけられた。
「未久ちゃんやったよな」
『白石さん、なんでしょうか』
私に声をかけてきたのは四天宝寺部長の白石蔵之介だった。彼が一番わからない。人あたりのいい性格は本当なのだろうが、少々厄介だ。
「いや、俺のチームの担当やからな挨拶しとこ思うてな。よろしゅう」
『こちらこそよろしくお願いいたします』
「大変やろうけど、無理はせんようにな」
『ありがとうございます』
「じゃあまた後でな!」
そういってとびきりの笑顔を残して白石さんは去っていった。
差別区別そして分別