レンリツ方程式 | ナノ





「合同合宿を行うことになった」


週末の部活。練習後に集められたレギュラー陣とマネージャーは跡部さんの口から合同合宿の文字を聞いてそれぞれの反応を見せた。


「急にどないしたん?跡部」
「この時期に一発でかい合宿をいれるのもいいじゃねぇか。なぁ?樺地」
「ウス」
「まぁええけどな」
「どこの学校が来るんですか?跡部さん」
「参加校は氷帝、青学、立海、四天宝寺だ。場所は俺様の別荘でやる」
「まじまじ!丸井くんも来るじゃん!うれC―!」


私は真面目に話を聞くふりをして宝華梨々の顔を盗み見た。その顔に描かれているのは間違いなく笑みだった。見る人が見ればわかる、欲に満ち溢れた笑み。あぁやはり、比奈ちゃんたちの予想が的中というわけか。


「各自しっかり準備をしておけよ?あーん?」


跡部さんの一言で引き締まるレギュラー陣。いくら堕ちたレギュラー陣とはいえ救いはこの点だろう。


「それからマネージャー」
『はい』
「はーい!どうしたの?」
「ほかの学校にはマネージャーがいないらしい。だが立海は臨時マネージャーを立てるそうだ。といっても4校に対してマネージャーが3人、一応萩之介もサポートには回るが大変になるだろうから覚悟しておけ」
『わかりました』
「梨々がんばるね!」


可愛さ全面押しで頑張る発言をした宝華梨々。是非ともその宣言通り頑張って欲しいものだ。


「でも無理したらアカンで?」
「そうだぜ!何かあったらすぐに言えよ?」
「力になりますから!」
「いつでも頼れよな!」
「侑士、亮、チョタ、がっくん……ありがとぉ!」


なんだこの茶番は。きっと表情を見る限り私と若と萩ちゃんの思考はシンクロしている。ダブルスの奇跡と呼ばれるシンクロを3人でしてしまっている。

ちなみにジロー先輩の頭の中は立海の丸井って人でいっぱいなようだ。


「詳細はこの用紙にのってる。各自確認しておけ。以上だ」


これで今日の部活は終わり。宝華梨々は足早に先ほどの4人を引き連れて部室を去っていった。


「昔なら、宍戸あたりはもう少し残って練習していただろうに」
『萩ちゃん、』


5人が出ていった部室の扉を眺めて呟いた萩ちゃん。その言葉にはどこか寂しさが滲んでいた。


「話したっけか?俺って宍戸に負けてレギュラー落ちしたんだよ、昔ね」
『少しは聞いたよ。それからサポートの仕事をよくするようになったんだよね』
「そうそう。確かにあの時悔しかったんだけどね、でも納得できたんだ」


そう言って思い出すかのように視線を上へと向ける萩ちゃん。


「宍戸の頑張りが俺のそれを上回ってたから」
『萩ちゃん、心配しなくていい。もうすぐで戻るから』
「未久……」
『もう少しで戻るから。萩ちゃんが好きだったテニス部に』




思い出を力に



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