レンリツ方程式 | ナノ



『なんか我が家―って気がする』
「なんだそりゃ」


私はそのまま今日は妖兄の家に泊まることにした。数ヶ月前まで住んでいたそこは実家のような感覚で。妖兄の匂いがたっぷり染み込んだソファーに顔を埋めて思いっきり息を吸い込んだ。なんか変態っぽいな。


「ほら、調べといたぞ」
『おーありがとー妖兄ッ』


漫研の素晴らしい女の子たちとの話し合いの結果、他校にも注意を配ったほうがいいという結論に至った。妖兄に調べさせたのは男子テニスの強豪校だ。といってもたくさんあるので全国大会ベスト4と関東圏の強豪だけに絞ってもらった。


『昨年のベスト4が氷帝と四天宝寺と青春学園と立海大付属ってとこか。青春学園なんて学園があるんだね……』
「ぜってぇ通いたくねぇな」
『同意』


他には聖ルドルフ学園や不動峰、山吹や六角といった名前が載っている。


『んー全部はめんどくさいな。数あれば十分っぽいけど』
「どういうことだ」
『んー、じゃあアメフト部で説明しよっか』


例えば泥門が今の氷帝と同じ状況だとする。

そして同じように他校に注意を促す場合全てだと骨が折れる。でも、王城や西部それに神龍寺みたいな学校に注意を促すことができれば自然とほかの学校にもそんな話が聞こえてゆく。

この情報化社会を逆手にとった作戦、とでも言おうか。


「じゃあベスト4だけで十分ってことか?」
『そゆこと。理解が早くて助かるよ。それにその4校さえ抑えられれば多分ねずみ算式で宝華梨々の情報を流すことができるでしょ。全国レベルともなればそれなりに連絡も取り合うだろうし』
「まあな」


私はソファーに埋めていた体を起こして目の前のローテーブルに置かれたコーヒーを口に含んだ。


「……そういえば未久」
『何?』
「四天宝寺の名簿みたか?」
『いや、まだだけど』
「おもしれぇ名前が載ってたぜ?」
『え?』


妖兄に導かれるがまま四天宝寺の資料に目を通していく。そして見慣れた名前と顔写真がひとつ。


『懐かしー大阪の学校に通ってるの?知らなかった』


感心する私を横目に少し顔をしかめる妖兄。


『何?父親のことでも思い出した?』
「るせー」
『ふふ、可愛いね、妖兄は』
「明らかに貶してんじゃねえか」
『褒めてるよ』


クスクスと笑いながら私は妖兄の頭を撫でた。染めているにも関わらず質のいい髪の毛は触っていて気持ちがいい。


『ねぇ?今日は妖兄と寝ていい?』
「ガラじゃねぇことすんじゃねえよ」
『いいじゃない。充電ってことで』
「俺はACアダプタかなにかか?」


妖兄と会話をしていて、やっぱり安心する。そう思った。


「オラ、風呂入ってこい」
『はーい』





休憩には甘味をどうぞ



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