レンリツ方程式 | ナノ




夢小説に詳しい女の子は私と同い年で名前を神戸比奈ちゃんというらしい。ほかの二人は1つ上の先輩で加藤朝子さんと水戸部綾さんというらしい。先輩二人も知識自体はあるらしく私の話を聞いてくれた。


『どう思う?』
「可能性としては、ない、とは言い切れないと思う」
『本当!?』


目の前には要点をまとめたルーズリーフが一枚。比奈ちゃんはボールペンをくるくると回しながら思考を巡らせている。


「もしその話が成り立つとすれば、この世界はその宝華梨々って人の世界では漫画か何かの世界ということになるけど……」
『でも、まあ、漫画って言われてもおかしくないくらいに美形揃いなんだけどねあのテニス部』


思い出すのはナルシストな彼。


「宝華梨々は逆ハー補正って言っていたんだよね?」
『うん』
「ならまず間違いなくトリップに何かしらの存在が関わってると思う」
『神とかってこと?』
「そう。神とか悪魔とか死神とか」
『なるほど、』


トリップにも突然トリップというパターンもある。マンホールに落ちたら知らないところでしたーとかそういうやつだ。そのパターンだと「逆ハー補正」などという特典はない。しかし宝華梨々は自らの口から「逆ハー補正」と漏らしている。


『どうするのが得策だと思う?』
「逆ハー陥れみたいにするのがいいんじゃないかな?宝華梨々の本性を暴いて学校にいられなくすればいい」
『なるほどね。それなら簡単だ』
「でもでも!その場合だとほかの学校に行っちゃう可能性はない?」
『ほかの学校……』


つまりこういうことらしい。

宝華梨々が目をつけているのは氷帝のテニス部。しかもレギュラーだけ。スポーツの漫画ではよくあることだ。試合に出る人物だけが漫画ではピックアップされる。つまりこの世界が漫画やアニメだと仮定した場合その他ライバル校も存在し、同様にキャラである可能性がある。


『テニスの強豪校……全国ベスト4あたりかな』
「そうなるかも」
『氷帝から追い出し、さらに漫画に出てきたであろう学校の方にも根回しすればいいか』
「そんなに簡単に行くの……?」
『私の名前は?』
「あ、」


私は蛭魔未久。泥門の悪魔であり弱小アメフト部を全国優勝まで導いた頭脳をもつ兄の妹。


『でも、』


こんな面白そうなこと、簡単に終わらせたくないよね。




悪魔が笑った




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