レンリツ方程式 | ナノ





「随分非現実的じゃねえか」
『だから私も困ってるんでしょバカ兄貴』
「あぁ!?」


ガチャンと銃の弾が装填された音がする。兄には珍しくベレッタを構えている。


『あ、私が泥門の入学祝いにかったベレッタじゃない。へえ、使ってたんだ』
「わりぃか」
『んーん、嬉しいの』


私がそういえば銃を降ろして足を組み直す妖兄。我が兄ながら様になっている。


『でも、それ以外に辻褄の合う答えがない。妖兄は説明できる?一人の女に男が一気に100人以上も一目惚れする方法』
「惚れ薬」
『それも現実味ないじゃない』
「まだあるだろうが。ドラッグや麻薬の一種かもしれねえぜ?近くにいるレギュラーのやつらばかりが悪化してんだろ?可能性はなくはねぇだろ?」
『それなら跡部景吾や萩ちゃんや若の説明がつかない。ドラッグに耐性があるなんて話は聞かない。それに私だってそれなりに一緒にいるけどなんともない』
「チッ」


舌打ちをうちガムを膨らませる妖兄。


『鈴音ちゃんとか、なにかそういう知識ない?』
「んー学校の友達とかの話は聞いたことあるよ!」
『ほんと!?』
「でもやっぱり、実際にトリップしてきたとかって話は聞かないかな……」
『だよね……』


もっと女子の力を借りたほうがいいのだろうか。そもそも考えが間違っている?いや、それはないはず……


「漫研行くぞ」
『あーその手があったね。氷帝に漫研ないんだよ』


目には目を歯には歯を、というやつだ。

私は妖兄の後をついていき校舎内へ。来客用の茶色いスリッパを履いてパタパタと歩いてゆく。兄が立ち止まった部屋は多目的Aと書いてある教室。教室の扉には「漫画研究部へようこそ!」という萌えキャラが書かれたポスターが貼られていた。

妖兄は足で扉を乱雑に開ける。中にいる部員らしき人々は兄の顔を見るやいなや自らの顔を真っ青にし震えだした。


「女子部員はいるか?」
「「「は、はいっ」」」


教室でも窓際。机を四つ合わせたところに女子部員が三人。私は妖兄の脇をすり抜けてその女の子へと近づいた。


『お話伺ってもいいですか?』
「「「え?」」」


突然出てきた私に目をパチクリとさせる三人。


『突然申し訳ないのですがお力をお借りしたくて。私は蛭魔未久と申します。あそこにいる蛭魔妖一の妹です』
「「「い、妹っ!?」」」


やはりあのヒル魔に妹がいるだなんて誰も思っていなかったようで漫研全体が驚きに包まれる。そんなことより、だ。


『単刀直入にいうとこの中に夢小説に詳しい方はいますか?』
「え、」
「夢小説なら、」
「私は、えと、サイト作ってますし、それなりには」
『お力を貸していただけますか??』


女の子は驚きを隠せない様子でおずおずと頷いた。




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