レンリツ方程式 | ナノ




『んー久々の泥門だなー』


東京都郊外にある雨太市泥門。ここにあるのが私立泥門高校だ。昨年アメフトの全国大会で初優勝をした泥門デビルバッツがあるのがこの学校だ。

泥門高校。まあ氷帝なんかと比べたらいけないんだろうけどこじんまりとした学校だ。でも特に風紀が乱れているわけでもなく清潔感のある学校。制服のブレザーの色通り爽やかな印象を与える。


私は校門のところでケータイを開きメールを作成。校門までついた事を兄へと知らせた。するとそこに影が差す。顔を上げれば泥門の制服を着た見知らぬ男子が立っていた。


『何か?』
「こんなとこでなにやってんの?」
「人待ち?」
『えぇ』
「その制服、氷帝だよね?」
「マジ可愛いわ。ねえ?どっかいかない?ここら辺詳しくなかったら案内するし」
『人を待ってるって言いましたよね?』
「その子も一緒でどう?」
「退屈はしないぜ?」
『へえ、じゃあもうちょっと待ってください。もうすぐ来るはずなので……』
「そうこなくっちゃ」


あーあご愁傷様。こいつらは勝手に勘違いをしている。私は別にこいつらと一緒に行くなんて言っていないし待ってる人が女の子だとも言っていない。きっとこの人たちに待っているのは、地獄だ。


「待ってる子って何年生?てか、君何年生?」
「どこ行きたい?どこでも案内するぜ?」
「へぇ、どこへでも連れてってくれるのか。そりゃあありがてぇなぁ?」


彼らの背後、音もなく回り込んだのは私にとってもきっと彼らにとっても見慣れた金髪。そう、私の待ち人。


「「っ!?ヒ、ヒル魔っ!?」」
『遅い』
「入ってくりゃあよかったじゃねか」
『そこまで非常識じゃない』
「ま、まさか、」
「ま、まってたのって……」
「君は確か2年の三島くんと加藤くんだったねえ?アララーお二人共5股とはお盛んですねぇ??」
「「ヒッ!」」
「さー言いふらしてこよう!」
「「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいなんでもしますぅぅううう」」
「奴隷ゲット」
『相変わらずだね、妖兄』
「よう、にい?」
「てめえらも運の悪いこって、俺の妹に手ぇだそうとはな」
「「いいい、い、妹!?」」
「覚悟しやがれよ?」
「「ひぃっぃぃぃぃぃいいいいいいい」」


男子らしからぬ悲鳴を上げながら逃げ出した二人。兄も相変わらずのようだ。


「ったく、てめぇも相変わらずだな」
『何?変わってて欲しかった??』
「そういうんじゃねぇよ」


そう言うとわしゃわしゃと頭を撫でる。兄の癖のようなものだ。


「おら、行くぞ」
『はいはい』


そう言って兄に案内されたのは泥門アメフト部の部室だ。部室には懐かしいメンバーが揃っていた。


「あれ、未久ちゃん」
『お久しぶりです栗田さん』


泥門の部活は3年の夏で終わり。しかしアメフトの大会は秋。そのため実質引退した3年生の栗田さん。妖兄も含め試合をすることはないがこうして顔を出し指導に精を出している。


『セナくんやモン太くんもお久しぶりです』
「久しぶりだね」
「久しぶりMAX!」


私がまだ中学3年生のとき、間接的ではあるものの泥門デビルバッツの手伝いをした私はもう顔見知り。


「はい、どうぞ」
『姉崎さんありがとうございます』


椅子に座った私の前に珈琲をおいてくれた姉崎さん。そして私の前に妖兄が座りパソコンを2台広げる。


「じゃあ、話を聞こうじゃねえか」
『まず、定義として話さなきゃいけないことがある』




敵に回したのは悪魔




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