レンリツ方程式 | ナノ




今この氷帝学園で一番安全な場所はここ、生徒会室と言えるだろう。短い時間ではあるもののお昼の時間を使い私は自らの考えを伝えるために主要メンバーをここに呼んだ。

主要メンバーは跡部景吾、樺地宗弘、滝萩之介、芥川慈郎、日吉若だ。


『と、いうのが現段階での最有力候補なんです』
「ちょっと待て、理解が追いついていない……」


昨日出した結論を伝えれば困惑する5人。まあ無理もない。私でさえもまだ困惑しているのだから。


『私も未だ信じきれていない部分があります。どう考えてもファンタジーですから』
「だが、それが一番可能性が高いんだろ?」
『まあ、そうなんだけど』


若はまっすぐ私の方を見つめてくる。


「俺は情報とかデータとかそんなものを集めようとも思わないし集められない。だが未久の情報を集める能力は俺だって買ってる。俺はお前を信じる」
『若……』
「その通りだよ未久。にしても日吉、やるねー」
「いえ……」


若も萩ちゃんも私を信じてくれるといった。純粋に、嬉しかった。


「俺も未久ちゃん信じるC―!」
『ジロー先輩、』


ポッキーを咥えながら笑うジロー先輩。


「蛭魔未久」
『はい』
「俺もまだ理解しきれてねえ。だが、お前のソレが真剣だってのは理解した」
『!』
「俺にできることならなんでもいえ。できる限りのことはするつもりだ。なぁ?樺地」
「ウス」
『そう言っていただけると嬉しいです』


私がそういえば満足したように紅茶を口に含む跡部さん。


『それで、今日の練習だけ休ませて頂けませんか?』
「あーん?何すんだ」
『ちょっと協力要請に行こうかと思って』
「もしかして、」
『そのもしかして、当たってると思うよ。本当は頼るつもりなかったんだけどね』
「誰だ?」
『兄です。私の』
「兄貴何かいたのか」
『失礼ですね。兄くらいいますよ』
「で?兄がどうしたんだ」


興味があるのかないのか知らないけれど兄のことを深く聞こうとする跡部さん。さてと、どうしようか。


「未久をどぎつくした感じですよ」
『どぎつくってなによ、若』
「キャラ、おかしいぞ」
『もうどうでもいいじゃない。どうせこれからやることだってえげつない事なんだろうし』
「自覚あったんだな」
『アンタから潰すわよ、若』
「それが本性ってやつか。ククク、おもしれーじゃねぇの!」
『黙れよナルシスト。その高笑い耳障り』
「言うねー。さすがは未久」
『それ褒めてるの??』
「褒めてる褒めてる」


ニコリと女神のように笑う萩ちゃん。でも私は知ってる。一番怒らせていけないのは跡部景吾でもなければ私や私の兄なんかでもなく、萩ちゃんなんだって……。


『というわけで、兄のところまで行ってきます』
「わかった」
『萩ちゃん、今日のマネージャーの仕事任せてもいい?』
「それくらいお安い御用だよ」


だが実際問題、どうやって宝華梨々をこの世界から退場させるかは皆目見当もつかない。転校させてそれで根本的な解決になるのか?


「未久ちゃん?」
『ジロー先輩?』
「ほい」
『んっ』
「ポッキーあげるC―!どうどう?うまいっしょ?」
『美味しいですよ』
「だから笑って?」
『……なんかジロー先輩は、不思議ですね』
「褒められてる気しねーんだけど?」
『褒めてますよ。その不思議さに私救われてますから』 
「そっか!」




現実に逃避



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