レンリツ方程式 | ナノ





同じ制服を着た人達が同じ方へと向かって歩いてゆく。ある人は一人で、ある人は3人ほどのグループで。

毎回思うけれど、この登校の時間は無駄だ。この40分を他のことに使えたらいいのに。

私はケータイを取り出し、お気に入り登録がされている番号を簡単なボタン操作で呼び出した。そして電話をかける。


『もしもし?妖兄?』


つけている腕時計を確認すれば、ちょうどあっちの朝練が終わったくらいであることを教えてくれた。


『うん。ちょっと暇だったから』


私がそういえば電話の向こうで悪態をつく彼の声。それでもちゃんと話を聞いてくれるあたり彼は私に甘いのだろう。


『学校?楽しいよ、それなりにね』


中学校という義務教育の場から、高等教育という新しい環境へと身を投げて早3ヶ月目。自分なりには満足したスクールライフを送っている。


『うん。うん、妖兄も頑張ってね。応援してる。うん、ばいばい』


通話が終わればもうすぐそこには校舎。私の通う、氷帝学園高等部だ。


「おはよー!蛭魔さんっ」
『おはようございます、田辺さん』
「ごきげんよう、蛭魔さん」
『おはようございます、野々村さん』


教室へと入れば多くの人から声をかけられる。小中高と一貫校であるこの学校には珍しい高等部からの外部生である私。そんな私にももうたくさんの友がいる。

早くも馴染めたこのクラスから見た私の印象はきっと「いい人」なのだろう。実際私は「いい人」と言えるだろう。

……表は、ね。

果たして私の裏の顔を知っている人物がこの学園に何人いることやら。

私は一時間目の授業の準備を始めた。



始まりの唄を聴け



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