『初めましての方は初めまして。1年の蛭魔未久と言います。本日より男子テニス部のマネージャーを務めることになりました。よろしくお願いいたします』
200人にも及ぶ部員の前で声を張り上げるというのは初めての経験だ。あまり得意ではないが致し方ない。
結論から言えば太郎ちゃん……テニス部の監督をしている榊太郎はあっさりと承諾。むしろよろしく頼むとまで言われる始末。これは手を抜けない状況になった。いや、手を抜こうとなんて思っていなかったけれど。
対する部員の反応は様々だ。困惑するもの疑念を抱くもの。そんな部員の声を代弁するかのように口を開いたのは忍足侑士だった。
「未久ちゃん言うたか?なんでテニス部のマネージャーやろうと思たん?」
口調は優しげだがその端々にはトゲを感じる。遠まわしに「お前なんか必要とちゃうんやけど早よどっかいけや」と言っているようにしか聞こえない。
『榊太郎先生からお声がけいただきまして承諾したまでです。昨日跡部さんにも挨拶に行って了承は得ています。ほかに回答は必要でしょうか?』
「ほーか」
思ったよりもあっさりと身を引いた忍足侑士に多少驚いた。が、その理由はすぐにわかった。
「クソクソ!どうせお前だって俺ら目当てなんだろ!?」
ブチャr……こほん。向日岳人がすぐさま声を荒げた。きっと忍足侑士はこれをわかっていたのだろう。
『自意識過剰もいいかげんにしてください。確かに?貴方達は世間一般の概念からすればイケメンですけど、私がそれ目的だって決め付けるのどうかと思いますよ。あれですね残念なイケメンなんですね。それに私の兄の方がイケメンなので。私はあくまでマネージャーをしに来てるんです。言いがかりつけるのは止めて頂けますか?』
ここまでノンブレス。
周りに視線をやればあっけにとられているみたい。萩ちゃんは笑ってるけど。若は呆れ顔だ。
『私は頼まれて引き受けたことは最後までやらないと気がすまない人間なんです。もし私が仕事をしていて邪魔だと……ああもちろんマネージャーの仕事の面でですよ?邪魔だと思ったら追い出してください』
「チッ」
「文句があるなら俺様に言え」
「あ、跡部……」
「俺様が認めたんだ。問題ねえだろ?」
まさに鶴の一声。「跡部が言うなら……」と多くの人が声を鎮めた。
「ごめんなさーい!遅れちゃったぁ……っ!」
突如聞こえてきた甘ったるい声に誰しもが視線を投げかける。
さ、始まるよ。
ショータイムの鐘が鳴る
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ジョジョネタすみません。