レンリツ方程式 | ナノ





高等部とは言え普通の学校となんら変わらない。部活があれば委員会だってある。もちろん私も委員会には属している。時間を有効活用できる委員会、図書委員会だ。

今日は月に1度ある委員会の日で委員会に所属している生徒は放課後にそれぞれ集合場所へと集まる。図書委員会は図書室、生徒会は生徒会室といったように。

私は図書委員会の集まりを終えると階段を上りとある部屋へと向かった。


ノックを三度。そうすれば中からは声が聞こえてくる。


『失礼します。跡部景吾さんいらっしゃいますよね?』
「蛭魔、未久か」


そこは生徒会室と呼ばれる場所だ。跡部景吾という男は2年にもかかわらずテニス部の部長も生徒会長もこなしている。それはやはりそれほどの手腕が彼にあるということの裏付けなのだろう。

そしてそんな彼の傍らには樺地宗弘もいる。


『折入ってお話があってきました』
「なんだ」
『私を、テニス部のマネージャーにしていただけませんか?』


彼のアイスブルーの瞳が見開かれる。

といってもそれは一瞬のことですぐに表情は元に戻った。


「藪から棒に、何が目的だ?」
『簡単に言えば昨日お話頂いた件を受けようと思いましてね』
「なんだと!?」


またしても見開かれる瞳。


『昨日滝萩之介にも頼まれまして。知り合いには優しいんです私。お代もいりませんよ。よかったですね』
「……それで、マネージャーは何の関係があんだよ」
『パーソナルデータというものは簡単に手に入ります。私が今欲しいものは別にあるんですよ。わかりますか?』
「……」


黙りこくる跡部景吾。私は一息つき、話を続けることにした。


『やっぱり人って中身だと思うんですよ』
「それをお前が言うのか?」
『私だから言えるんですよ。中身はデータじゃわからない。実際に会話をしなければ』
「確かにな、」
『しかし私と転校生である宝華梨々には共通点が存在しない。学年も違う、あっちは委員会に入ってるわけでもない。なら手っ取り早い話私がテニス部に入ればいい。違いますか?』
「異論はねえな」
『可能ですか?跡部景吾さん』
「監督に話してみよう」
『高等部も太郎ちゃんでしたっけ?』
「たっ!?」
『おっと、榊先生でしたっけ?』
「……ああ」
『なら大丈夫そうですね。これ、私の連絡先です。決まりましたら連絡ください』
「情報を扱うお前がこんなに簡単に連絡先を教えていいのか?」
『150台近くあるケータイのうちの一つです。問題なんてありません』
「お前、何もんだ」
『負け犬、ですよ』


私は生徒会室をあとにした。



プロローグはここまでですね。




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