レンリツ方程式 | ナノ





暑い。

今の私の脳内にはこれしかなかった。

腕時計で時間を確認すれば午前11時といったところ。今頃練習の真っ最中だろう。Cチームには申し訳ないけれどドリンクは各自で取りに行って欲しい。作ってはあるから大丈夫、というところか。

かれこれ3時間以上倉庫に閉じ込められている。そしてどんどん上がっていく気温を肌で感じている最中だ。

最も気温が高くなるのは午後2時であるけれどそれはあくまで気温。太陽光が地面に当たりそれが反射して空気が温められる。太陽が真上にある12時からその太陽光が地面を温め空気を温めるまで2時間。だから2時が一番気温が高いのだ。

しかしここは室内。室内といっても6畳程度しかない部屋でほぼ密室。この倉庫を囲んでいるのはあくまで低木であり影がさすことはない。その証拠にただ一つの光源とも言える小さな窓からは煌々と太陽光が差し込んでいる。

そして室内の埃のせいか息が苦しい。こんなことならここを調べた時に掃除しておくんだった。


私がここを出られる可能性は2つ。

宝華梨々が自ら開けてくれるか、私の不在に不審感を抱いた妖兄が全監視カメラをチェック。この倉庫にも仕掛けられたカメラで私の姿を確認し、その後片っ端から屋外の倉庫をあたるというところか。

少なくとも不審感に気がつくのは昼食の時点だろう。宝華梨々のことだ昼食のことまで頭は回っていないのではないだろうか。練習を終え昼食を食べようと思ったらありませんでしたーで気がつくのではないだろうか。

あくまで、想像だが。


しにても、私が代謝の悪い体でよかった。変に水分を奪われていない。いやでも逆に体温調節が出来ていないともとれるのか。脱水症状にはならないだろうが熱中症にはなるかもしれない。

これじゃ熱中症に気をつけろと弦一郎に言った意味がないな。言った本人がなっていれば世話ない。


『あつ……』


こうなったら無理やり扉をこじ開けるか、とも考えた。ここは倉庫。扉を破壊できるものが何か1つはあるかもしれないと。そして見つかったのはマイナスドライバーが5本と精密ドライバー6本セットが1つ。木で出来たハンマーが2つとリヤカーが2台。

せめて金属製のハンマーが欲しかったところだ。

ちなみにこの倉庫の扉の鍵は所謂南京錠であり、倉庫内から開けることは不可能。少し空いた隙間からマイナスドライバーくらいならば通せるが所詮通せるだけ。それを使って南京錠を壊すなんて芸当は出来そうにない。

扉自体は金属で出来ているから木で出来たハンマーを使うなんて論外。

リヤカーで扉に負荷を与えようともしたが最初に音を上げたのはリヤカーで取っ手の付け根からぽきりと折れた。

そして私の体力を無駄に消費しただけだった。


『もう、12時になりそう』


もうすぐ昼食の時間だ。

そこに希望を抱くしかない。



灼熱の海で溺れた



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