「まじ、なんなの?」

練習がオフだと聞かされたのが昨日の話。
つっても、どうせ真ちゃんのことだから練習するんだろうなって電話してみたら、
「そんなに暇ではないのだよ、暇人め」
と一方的に電話を切られた。
俺だって別に暇人じゃねぇのにまじ真ちゃんひどい。

ひどいって言えばうちのマネージャーもそう。
同じクラスで男子バスケ部のマネージャーやってくれてるナマエとももう長い付き合い。
変人奇人の真ちゃんとあれだけ仲良くなれた俺だし?
多分、秀徳で一番ナマエと仲いいのは俺だって思ってる。
だから真ちゃんに振られたい俺はナマエに電話したわけ。
そしたら、
「ごめんね和くん!どうしても外せない用事があってね……」
どうしても外せない用事ってなんだよまじで。
練習あったら練習も休むつもりだったってわけ?
意味分かんねえ。

「あー!もう!」

俺は気晴らしに外へと出た。
もう11月も下旬。吹く風は冷たかった。
何をするわけでもなくブラブラと歩き、たまに足を止めてみたり。

『あーーー!いたぁーーーー!』
「あ?」

肩をがっちり掴まれて振り返れば肩で息をするナマエの姿があった。

「ナマエ?おま、何してんの?」
『なに、してんの、は、こっちの!台詞!』
「だって、おまえ、今日外せない用事がって」
『外せない用事!はい、ついてくる!』

手首を掴み直され、俺は為すすべもなくナマエの跡をついていく。

「どこいくのー?」
『学校』
「え?」

着いた先は言わずもがな、というか秀徳高校で。
そのまま引っ張られてたどり着いたのは部室。

「なに、なになに?」
『和くんから入ってねー』

急に俺の背後に回ったナマエは部室に入るようにぐいぐい背中を押してくる。

俺は部室の扉に手をかけた。


パンパンパパーン!!!


「!?」
「「「誕生日おめでとう、高尾!」」」


殺風景な部室が色とりどりになっていて、大きめの机が出されている。
その上には食べ物とか飲み物とかが置いてあって。
まるでそれは、誕生日会のような

「まじで?」

ハイスペック、なんて巷では言われてるらしいけど俺だって人の子。
こんなことされてすぐに順応できるはずもなかった。
でも、
やっぱ、
嬉しくて。

「どこいってたんだよ高尾てめー。家に行ったいねえしよ。轢くぞ」
「軽トラ貸すか?」
「突っ立ってないで早く中に入ってくるのだよ。ナマエもだ」
『ごめんね、しんたろーくん!』
「高尾は、そこの席に座るといい」
『誕生席ー』

「まじ、なんなの?」

鷹の目も潤めば、何の効果も発揮しなかった。



―――――――――
はぴば!高尾ーー!
krkの中でもかなり好きなキャラです!
ほんとおめでとー!!



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