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此処はオルガ大陸。

古来より人類とモンスターそして魔族が混然と存在してきた大陸である。


身体能力ではモンスターに劣り、魔力では魔族の足元にも及ばない人類は、身に迫る危険を回避するために集団となり、クニをつくった。


やがて人類は“科学”と“魔法”を学問化し、研鑽を重ねそれぞれを強力な兵器にまで昇華させていった。そして人類は、モンスターや魔族といった天敵に対し戦争を挑んだのだった。



熾烈を極めた戦争に終止符を打ったのが後に“伝説の勇者”として語られるカンダタ、フェルト、オフィーリアの三人であった。彼らはモンスターを凌ぐ攻撃力と、魔族を上回る魔力を持って敵を駆遂していった。


敵勢力が弱体化した後、人類はオルガ大陸でそれぞれ文化を根付かせ、多様化し、複数の国家に分かれていった。


そして三人の勇者もそれぞれの道を歩むこととなった。




その後、小国家が乱立することとなったが、時代の流れとともに国家は大きく三つに再編された。


一つは魔族の血を積極的に取り入れ、人間そのものの身体向上をはかったカイゼル国王率いるネクロス王国。魔族の血を引くものが多く、好戦的で知られる。


一つは純血種の人間による純粋民族を至高の存在と掲げ、小国家を取り込んだアルゴス帝国。近年、若干14歳にしてナイナス皇帝が誕生している。勇者の一人であるフェルトを魔導研究の第一人者に置き、魔導力の戦力の柱としていた。


最後は人類でありながら希少種であるエルフなど、アルゴス帝国に与しなかった王国を束ねたテオドア共和国。ここは勇者の一人であるオフィーリアが代表となり国王を名乗っている。


各国は決して協調路線は取らないまでも、それぞれ干渉することはなかったため、大陸に戦乱が生まれることはなかった。


しかしアルゴス帝国に若き皇帝ナイナスが就く際、帝国領の諸国との内戦が発生。その気に乗じて、ネクロス王国のカイゼル国王が侵略戦争を開始した。


標的となったのはもともと争い避け、武力を持つことを好まないテオドア共和国であった。


ネクロス王国の領土拡大はいずれアルゴス帝国にも災いとなって降りかかることは、誰の目にも明らかだった。そのため、アルゴス帝国も領土拡大を求めて軍事活動を開始。


ここに三国による侵略戦争の幕が切って落とされたのである。



オルガ歴1910年6月29日の出来事である。






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