葡萄 | ナノ


今日から私はゴジ砂漠への侵略作戦に参加する。対テオドア共和国だ。


侵略戦争が始まり早数ヶ月経つが、実のところ私は対テオドア戦をあまり経験していない。勿論敵将の情報や、得意とする陣形などは事前に調べているがそれだって実践となれば別。

今回あちらの将軍がどういった戦略で攻めてくるのか……私には予想もつかない。


でも、だからといって怖気付くわけには行かない。少しでも、ネクロスの為に……。



「今回、ゴジ砂漠での指揮は僕がとります。皆さん、ゴジ砂漠落としますよ」

「「おおおおおお!」」



集まった兵にアルケイン様が喝を入れる。そのアルケイン様の一声で士気を高まらせる兵士たち。

周りを見渡せば見知った顔が多く存在した。どうやら、弓士が多いようだ。


なんでも今回の敵将が魔術師ということもあり、それに合わせたらしい。



「ユーリア」



気配なく音もなく背後から私の隣へと並ぶアルケイン様。彼だからこそ出来る業だが、これが敵だったらと考えると末恐ろしい。



『なんでしょう、アルケイン様』

「弓士たちの指揮はユーリアに一任します。よろしくね」

『私でよろしければ、謹んでお受けいたします』

「フフ、ありがとう。じゃあ、行きましょうか」

『はい』



私は優雅に歩く上司の背中を追った。









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