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時間で言えば夕方。学生的観点から言えば放課後と呼ばれる時間帯。ある人は部活動で汗をかき、芸術に励み、ある人は家に帰り勉学に励み、娯楽に走る。そんな時間。

そんな時間に私は呼び出される場所としては王道である体育館裏に来ていた。日光の当たらないそこはじめじめしていて人気が少ない。

そこにいるのは私ともうひとり。彼女は今の総司の彼女さん。確か去年この学校のミスコンの最終候補に残っていたきがする。それほどの美人さん。でもそんな美人さんが顔しかめて腕組んでこっちを睨んでる。ああ、きっとだから最終候補どまりなんだろうななんて、ミスコンに出てすらいない私が何を考えてるんだか。



「田村さん」
『なんですか?』
「呼び出された理由、わかってるわよね?」
『いえ、まったく』
「!」



いえ、本当は分かってます。でも、納得はしていない。



「じゃあひとつ聞くわ。貴女と総司の関係は?」
『言うなら、幼馴染ですね』
「そうね。でも、幼馴染にしてはでしゃばりすぎじゃない?」
『と、いいますと?』
「ここまで言って分からないの? 総司と関わるなって言ってるの」
『何故?』
「っ! アンタねえ!!」



本当、最近の女の子は自己中心的というか、なんというか。分かっていない。



『私と総司が何しようが自由でしょう? 私の自由を奪う権利が、総司の自由を奪う権利が貴女にあるんですか?』
「なっ」
『私は貴女の言葉で今後の行動を変えるようなことは絶対にありません。もし、総司が私と関わることをやめるように言ったのであればその時は私は総司と関わるのをやめます』
「アンタ、どうなっても知らないわよ」
『こればっかりは譲れません。貴女は総司のこと、なんだと思ってるんですか?アクセサリーかなにかですか?違います!そこんとこ、間違えないでください』
「いいかげんにしなさいよっ!」
『っ』



殴られた。

いや、叩かれたが正しいか。多分今、私の頬は赤い。



「アンタには関係ないって言ってるの!幼馴染がなによ!アンタだってその幼馴染の席に胡座で座ってるだけじゃない!ふざけないでよ!」
『……』



そう、貴女の言ってることは正しい。

私は幼馴染という数少ない椅子にしがみついているだけなんだ。



「何も言い返せないでしょ?フン!これにこりたら総司とかかわらないようにしなさいよね」



そういって自慢であろう髪の毛を揺らしながら彼女はこの場を去った。



『……』



悔しかった。

あんなのが総司の彼女であることも。

そして勇気の出ない、臆病者の私自身も。





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