私は今故郷が会津に身を置いている。

新選組は会津藩が勤めていた京都守護職のもとで京都の治安維持を行っていた為、会津藩が藩主、松平容保公とは顔を合わせていた。学があるという理由で何度も話し合いの場へと足を運んだ私と容保公が仲良くなるのはさほど時間はかからなかったように思う。それはきっと元々私が会津の出だということも起因していただろう。

そういうこともあり私は今会津で会津藩士を勤めている。武士として誇り高い会津藩士の中にいるのはとても心地が良かった。

そりゃあ初めは女ということもあり毛嫌いされていたが、それだって心意気や剣技を見てもらい、実際に刀を交えてしまえばどうということはない。


時は流れ、時代は否が応でも移ろった。

気がつけば幕府軍と新政府軍の戦争が起きていた。所謂、戊辰戦争である。

京都守護職である会津藩が動くのは道理で、会津からも藩士を送る手筈になっていた。勿論、その中にも私はいたのだが容保公が気を利かせ私はその役から外された。

京に行くということは新選組の面々と顔を合わせるということなのだ。今では新選組も有名になった。だからこそ、余計な混乱は避けなければならないのだ。

そして、私自身も未だ、心の整理がついていないというのもあった。きっと容保公はこれに気がついていたのだと思う。



しかし戦況は思う通りには進まなかった。

元々幕府有利であったはずのこの戦。新兵器を手にしていた新政府軍が戦況を一変させ、一気に新政府軍の優勢となったのだ。そして聞こえてくるのは敗戦の知らせばかり。

気がつけば幕府軍は北へ北へと押され、此処、会津へと撤退を続けていた。


その中には甲陽鎮撫隊と名を改めた新選組も存在していた。


今日、その幕府軍が会津城城下へと入る。私は、その幕府軍の案内役を買って出た。



『……お待ちしておりました』
「おめぇ……」
「え、花さん……っ?」



知っている面々が私の顔を見て驚きを隠せない様子だった。特に、桃色の着物に袴姿のあの子は。



『お久しぶりです。さ、城内へどうぞ。お部屋をご用意しております故』
「え、花さん、ご病気なんじゃあ……」
『ああ、そういうことになっていましたね。私からすれば、貴女がまだ新選組に身を置いていることが驚きです』
「っ」
「おい、花。口が過ぎるぜ」
『申し訳ありません、土方殿?』
「てめぇなぁ……口の悪さはあの頃のまんまか?」
『土方さん譲りですので』
「こりゃあ一本取られたな……」



困ったように頭を掻く土方さん。

あの頃のままだった。容姿は物凄く変わってしまったが。土方さんの長く艶があって綺麗な髪の毛はバッサリと切り落とされており、来ている服も洋服と言われるものだった。


ちなみにこの数日前に齋藤くんと島田くんそして羅刹となってしまった山南さんと平助が入城している。

これで、新選組の面々は全員らしい。

話はもう斎藤くんに聞いている。

ここに来る前に捕まった近藤さん。労咳を患っていた総司。袂を分かった原田さんと永倉さん。そして戦い敗れた源さんと山崎くん。


変わってしまった新選組に、ほんの少し悲しくなった。







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