『ごめんね、急に』
「いいえ、気にしないでください」



放課後。私は柳生をメールで呼び出した。部活開始まではまだ時間があるみたい。



「用件は?といっても、もう検討はついていますが」
『やっぱり?流石は柳生』



私は思わず笑った。それに柳生もほんの少し笑みを零していた。



『今までありがとうね、柳生』
「いいえ、こちらこそ。こんなことを言うのもなんですが、楽しかったですよ」
『私も。すっごく楽しかった』
「でも、きっと似たような関係は続くような気がします」
『うん。また二人で図書室いってSFの本読むくらいはしようよ』
「そうですね。時間、作ります」
『はは、ありがとう』



私も、柳生も、気がついていた。
誰よりも、気がついていた。
彼という、大きな存在に。



「彼はああ見えて子供ですので」
『わかってるつもり』
「そうですね」
『嫉妬深いでしょ?』
「ええ、きっと」



クスクスと二人で笑う。少し強い風が吹いた。



『私も柳生も、きっと大好きなんだよ』
「そうなのかもしれませんね」



ちょっと照れて、顔を背けながらメガネのブリッジを押し上げる柳生。



「ひとつだけ聞いてもいいですか?」
『一つと言わずいくらでも?』
「いつ、気がついたんですか?」
『はじめから、かな』
「はじめて彼が、彼で無くなった時ですか?」
『うん』
「それは……すごいですね」
『そうなの?』
「ええ」
『じゃあ逆に、私がいつ気づいてるって思った?』
「貴方が彼を目で追い始めたとき、と言っておきましょうか」
『そっか』



私は空を見上げた。

綺麗な青空がそこには広がっていた。



「彼のこと、頼みました」
『こちらこそ、今まで通りよろしくお願いしますね?』
「かしこましました」
『ふふ、柳生』
「なんでしょう?」
『またね?』
「ええ、また」



そう言って彼は屋上をあとにした。



終止符を打つ片道切符



君と別れて、私は新しい道を行くの





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