トウメイナセカイ | ナノ

金色のアナタ


入学式を終え、明日からの説明を各クラスの教室で担任から受けた。私のクラスは1-2。
私にとってクラスはどれでも同じ。
この泥門高校には私の知り合い、同中の人はいない。
元々私の通っていた中学は小中高一貫の学校だった為、他の学校に行こうだなんて考えるバカはいなかった。


先生からの説明が終わり、各々帰路についている。勿論親と共に。

私は一人だ。

嫌味ではない。むしろ、私は今の状態に満足している。一人なら誰にも迷惑をかけない。一人なら嫌な思いだってしないですむ。一人なら大切なもの失わずにすむ。

「碧路悠里だな」

『……?』


昇降口を出て肛門を通り過ぎる直前。目の前に現れたのは、常人よりも少し大きく裂けているであろう口に、常人より発達しているであろう犬歯がのぞき、耳は先がトンガっていて……その中でも1番目を引くのは金色に輝く髪。

きっともう、忘れることのない顔。それほどのインパクト。

しかし、よく見れば顔は整っている。鼻筋は通っているし目も切れ長。身長もまちまちで細身。筋肉もついている。一般的にモテるタイプなのだろう。

『……何か?御用ですか?』
「お前今回の入試、一位だっただろ?」
『……それがなにか?』
「ケケケ、いくらこの学校の偏差値が低いからといって五教科合計490点取るたぁ、いい頭してんじゃねぇか」

私は思わず反応した。私が入試で1位を取ったことならば今日の入学式でわかることだ。しかし詳細の点数となれば別。それは個人情報にあたる事柄だ。その個人情報をなぜただの生徒である目の前の彼が持っているのか。


『……それは個人情報ですが?』
「んなこたぁどーだっていいんだ……お前、何モンだ?」

目の前の彼の質問に思わず息を呑む。握りしめた手のひらに爪が食い込む。

「テメーの個人情報、いくら探しても出てきやしねぇ。出てくるものは生年月日と血液型程度……どういうことか説明してもらおうか」
『嫌ですね』
「……なんだと?」

ひくり、彼のこめかみが動く。

『何で今さっき会ったばかりの何処の馬の骨かもわからない人に、わざわざ自分の個人情報教えなきゃならないんですか』
「……」
『勝手に人の個人情報、調べないでください』

思わず大声で訴えれば、何を思ったのか彼は口角を上げ、特徴的な笑い声をあげた。

「……ケケケ!いい度胸だ!気に入った!テメーアメフト部はいりやがれ!」
『……アメフト?』
「いっとくが、拒否権はねぇぞ」
『嫌だ』
「今言ったばっかりだろーが、テメーに『アメフトはもうしない、関わらないって決めたんだ!勝手なこと言わないでよ!それじゃ!』」


私は思わず走り抜けた。
後ろからなにやら声が聞こえてくるかそんなものはもう耳に入ってこなかった。


アメフトには、もう……関わらないって……決めたから……。



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